内容説明
丘の上の馬鹿(フール・オン・ザ・ヒル)みたいに超然と老いたいのに、じたばたするばかりの金森カナエ(59)。舟唄ばりの不倫にどっぷりな桑原カオル(32)。ピンク・レディーのコスプレにはまった落合光弘(26)…。さえない、うまくやれない自分だけど、背中を押すテーマソングがある。軽妙なシニカルさと温かい視線が描き出す、9人の物語。
著者等紹介
平安寿子[タイラアスコ]
1953年広島県生まれ。フリーライターを経て、99年、「素晴らしい一日」でオール讀物新人賞を受賞し、2001年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
柊文庫本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
39
音楽聴きたくなる一冊。連作短編なので繋がりがあるのもクスリとさせられる。2017/07/28
coco夏ko10角
33
9つの作品収録のリレー短編集。その頃の思い出が溢れてくる音楽があったり。どの主人公も前を向く場面が。2016/10/21
のんちゃん
22
いろいろ躓いている人生だけど、いつも自分に寄り添う歌がある、そんな9人の人生をそのテーマソングと共に描いた短編集。平先生は私にとっては鉄板作家さんだ。理由ははっきりしなかったが、今回、書評家杉江松恋さんの解説で、分かった!平先生は「人生を面倒くさいものにしている心のもつれを文章で表す名手」だからだ。そんなお話が面白くないわけない。このもつれを解す仕掛けの妙の軽やかさ。人生捨てたもんじゃない!と思わせてくれる。大好きなお話ばかりだ。これからも平作品、追いかけますよ‼︎ 2017/08/01
エドワード
21
歌は世につれ。流行歌は当時の自分にタイムスリップさせる起爆剤。街でふと耳に入ったとたん、脳内回路が作動してしまう、実に不思議なものだ。阿久悠さんの詞は70年代の歌う年表。「舟唄」「UFO」は地の文まで歌詞がはみ出して思わず歌っちゃう。サザンは80年代だなあ。バブル真っ盛りの元気を感じる。流行歌ではない、「夢路より」「夕星の歌」が出色の出来。歌が人生に与えるチカラを感じさせる。しかしよくまあ男は一目惚れしちゃうもんだネ。ついでに妄想しちゃうネ。さて私の心の歌は何だろう。たくさんありすぎてしぼりきれないや。2016/07/08
こゆび
19
連作短編集。私には私を励ます歌がある。いつまでも同じままではいられない。少しずつ変わっていく自分に怯えたり落ち込んだりしながら、それでも進むための歌。明日へと向かって旗を振るように、弱気に負けそうな心に応援歌を掲げて。様々な歌が流れる物語から作者の声が聴こえた気がした。「あなたはあなた」、「だから心配しないで」。2020/09/19