内容説明
土は何から作られているか、良い土と悪い土をどう見分けるか、植物の成長に肥料は必要か。…絶対不可能といわれたリンゴの無農薬栽培に成功した著者が10年あまりにわたってリンゴの木を、畑の草を、虫を、空を、土を見つめ続けてわかった自然の摂理を易しく解説。人間には想像もつかないたくさんの不思議なことが起きている土の中の秘密とは。
目次
土は何から作られているか?
ひと握りの土の中には何匹の微生物がいるか?
土は汚い?
良い土と、悪い土をどうやって見分けるか。
肥やしは完成すると臭くなくなる。
雑草が邪魔者になったのはなぜか?
リンゴの木の守り神とは?
土の温度を測るわけ。
山のタンポポはなぜ大きい?
山の土は肥えていない?〔ほか〕
著者等紹介
木村秋則[キムラアキノリ]
1949年、青森県生まれ。リンゴ農家。2006年、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演、13年には『奇跡のリンゴ』が映画化されるなど、絶対不可能を可能にした自然栽培家として話題を呼ぶ。現在も国内外で講演や農業指導を続けている
石川拓治[イシカワタクジ]
1961年、茨城県生まれ。ノンフィクションライター。著書『奇跡のリンゴ』は累計四十万部を超えるベストセラーとなり映画化もされる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakie
20
無農薬のリンゴづくりに成功した木村さんの講義。旧来の農家の常識を、自らの体験で覆していくことの繰り返し、その凄みに、畏敬の念に打たれる。農業の機械化により牛馬が不要になり、雑草が生えるから除草剤を使い、土中細菌が減ってバランスが崩れ、虫が発生するから除虫剤を散布し、植物の力が弱まるから肥料を使い、ますます植物の生命力が弱まる悪循環。知識は失くしても生き物の、土の、地球の力を信じる心は失くさないことだと思う。リンゴの木の育て方も教えてくれる。土いじりをするならバイブルにしたい本。山の土の匂いを嗅ぎに行こう。2018/08/31
Tomomi Yazaki
17
死ぬほど苦労して作り上げた無農薬栽培のリンゴ。本書では、土はじめとする自然の素晴らしさを分かりやすく学ばせてくれる。著者のリンゴ園には農学者がよく来る。なぜ無農薬で肥料も使わずに美味しいリンゴが育つのか、まだ解明できていないらしい。でも著者は、経験と苦労で培われたを知識をもっている。おそらく学者のそれを遥かに凌駕している。でもその手法は至極簡単。肥料を与えると害虫が増え、農薬が必要となる。だから肥料を与えなければいい。そんな明快な答えの積み重ねで、無農薬栽培はできる。あとは根気と信念があれば良いのです。2023/09/04
放蕩長男
15
木村さんの「奇跡のリンゴ」のお話、ちょっとしたきっかけでネット検索してみたら、「あれはインチキ」「起こらないから奇跡」「長くは続かない」「三大肥料のうち、窒素以外の説明がない」「周りの農家の農薬が飛んできているから無事なだけ」と、散々な叩かれようで驚きました。逆に興味が増し、詳しい話を知りたくなり、本書を探してきました。私の見解ですが、木村さんは土中の微生物の力を借りて、うまく農業を付き合っており、しかしまだその仕組み・科学的検証は途上にある、といったところでしょうか。インチキ呼ばわりは、あんまりです。2016/09/10
timeturner
5
前に菌類について調べた時は目が文字の上を滑るだけで頭に入らなかったのに、こんなふうに説明されると頭だけでなく体全体で納得できる。木村さん自身がそうやって学んできたからなんだろうな。土の不思議が身にしみた。2018/03/28
yama-da
5
あの「奇跡のリンゴ」に衝撃を受けてから数年が経ち、再びあの木村秋則さんの言葉に痺れた。土の学校という題名だが、木村さんの生き様がそのまま詰まった本だった。感動とともに多くを学ばせてもらえた本だった。自然界が本来もつ力やその不思議さを改めて知ることができた。何度も読みたい本。2016/02/02