内容説明
国交省の森崎が研究者から渡された報告書。マグニチュード8の東京直下型地震が近く起き、損失は百兆以上に上るという。しかも「東京から人が消える」。森崎は内々に指示を受け対策を練るも地震は発生してしまう。ただ規模は予想未満で安堵する森崎。だが、これはさらなる巨大地震の引き金だった…我々の生活はこんなに危ういのか。戦慄の予言小説。
著者等紹介
高嶋哲夫[タカシマテツオ]
1949年、岡山県玉野市生まれ。94年「メルト・ダウン」で第1回小説現代推理新人賞、99年「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
五右衛門
75
読了。久しぶりの作家さんでしたがやはり災害パニック小説の第一人者とでも言いますか、素晴らしいスピード感で読み終わりました。今作品は日本に遠からず起こるであろう地震による経済損失を予想し、諸外国(やはり一番糞なのはかの国)が国を破綻させる!それを国内外の特に若手官僚が乗り切るため奮闘するストーリーになっています。いつも最後はハッピーエンドです。こうなれば本当に良いのですがね。でも危機感をもって臨まなければならないと思います。何せこの作家他作品は予言書の様なので空恐ろしいです。2020/08/01
p.ntsk
62
共読反映の為登録。タイトルと著者から『M8』や『TSUNAMI』等の災害パニックものをイメージしましたが今作はそういった要素もありますがメインは経済危機と首都移転がテーマでした。ある研究者によって「5年以内に90%の確率でマグニチュード8クラスの東京直下型地震が起こる」という報告がなされる。一方アメリカは日本発の世界恐慌を懸念。政府の経済政策の舵取り次第だとは思いますが現状で日本発の世界恐慌は考えづらいです。現実には首都移転よりもむしろ防災の強化と首都圏の拡大拡充を考えるべきではないかと思いました。2016/10/10
ちょこまーぶる
60
なるほどなっ!!と妙に納得した読後の一冊でした。読む前に首都が大地震で崩壊してパニック状態に陥り、少しずつ歩き出すという内容だろうと勝手に思っていたけど、首都移転構想における政治・経済面の過程を綴った内容でした。でも、それはそれで興味深く読めましたよ。そして、読み進めていくうちに、発表はされていないけど実は現政府も水面下では同じような構想で動き出しているのではないかという妄想が強くなってきました。実際、首都に大地震が発生したらどうなってしまうのかという事を考えると憂鬱になってしまいますが、備えるしかない。2019/08/01
ぼっちゃん
37
マグニチュード8の東京直下型地震に襲われる前に政府機能が失われないように道州制にし、首都を移転させようとする物語。21世紀の戦争は武器を持つのではなくインターネットを使った情報戦で、経済戦争を仕掛けられたり、なるほどと思えた。2020/11/27
うめ
32
大震災で東京がパニックかとおもいきや、経済戦争の話だった。分かりにくいところもあったり、あと、経済に対する危機感が私には欠けているのだなと再認識。前に読んだ首都感染のがリアルで面白く感じたけれど、経済分野の方にはこの話はリアルなのかな?理想の土地が想像の斜め上を行っていてとても驚いた。2016/09/26