内容説明
「今日から、あなたたちは鈴木さんです」。巨額の借金を抱えた男女四人が豪邸に集められた。彼らの責務は、ここで一年間、家族として暮らすこと。見知らぬ者同士が「家族ごっこ」に慣れてきたある日、貸主から次なる命令が下った。失敗したら四人に未来はない―。貸主の企みの全貌が見えた瞬間、想像を超えた“二重の恐怖”がつきつけられる!
著者等紹介
木下半太[キノシタハンタ]
1974年大阪府出身。作家。劇団「渋谷ニコルソンズ」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
360
木下半太さんの笑いの中にそっと恐怖を忍ばせた奇妙奇天烈なサスペンス・ミステリーの秀作ですね。男女四人の家に巨額の借金を取り立てに来た強面スキンヘッド男の要求は意外にも豪邸で鈴木姓を名乗って一年間「家族ごっこ」をする事だった。それぞれに秘密を抱えた赤の他人の男女四人が一緒に暮らす内に連帯感が芽生えて段々と打ち解けて行くハートウォーミング・ストーリーなのねと思っていたら、ガーン!やっぱり世の中そんなに甘くはなかった!強烈などんでん返しの何たる非情な結末!ダン・タケシ・カツオ・小梅の鈴木家は永遠に不滅?ですね!2020/02/15
ehirano1
334
悪夢シリーズ以外の著者の作品はこれが初めて。悪夢シリーズ同様、最後は大どんでん返しが来るだろうなと思いながら読み進めていきましたが、立ち直り(≒再生)を粉々に打ち砕く、いや立ち直り(≒再生)なんてそもそもなかったと言わせるほどのどんでん返しのレベルは当に創造の斜め上でした。帯には「ラスト7行の恐怖に耐えられるか?」とあり、確かに恐怖なのですが、恐怖よりもむしろ哀愁というか強い悲しさと切なさの方が強く印象に残りました。しかし、「おとーたん」のシーンは精神的にきつかった・・・・・。2017/02/12
nobby
297
読み友さんレビューで気になり、またお勧めもいただき読了。2500万円の借金の肩代わりに“鈴木”として一年過ごす『鈴木ごっこ』。何のための男女4人での家族ごっこなのかを模索しながらも、それぞれが過去を振り返る場面となり自分を取り戻していく。思わず噴き出す笑いも各所にあり、微笑ましく読んでいたら最後にびっくり!そこに隠されていた本当の意味を知り、なるほどと驚嘆しながらも後味悪くゾッとする。2015/11/16
♡手嶋♡
229
タイトル買いしたんだけど、面白かった!勢いで買っちゃうと失敗とかしちゃうんだけど。ストーリー上、登場人物の外見が詳しく描かれたので想像がしやすく物語の中にスッって入っていけた。なぜかってことはラストで判明する訳だが。ととと、サブタイで把握はしてるんだけども、これは誰の視点やねん!がチラホラあってそのあたりちょっと混乱してしまった。わたし伏線とか特に気にせずに読む派なので、これどうやってオチるんかなー本当の家族になったみたいで離れたくない!暮らしたい!とかかな?おもってたら!そうきたか!と。時系列が・・・!2016/12/06
直人
220
久しぶりの,そして《悪夢シリーズ》ではない木下半太さん作品。 まあこれは確かにビックリ。 そういうことだったんだ? 借金を抱えた人間たちが,それを返済するために「鈴木一家」になる。 そのミッションをクリアすれば借金が帳消しになる??? 厚さもそんなになく,かつ筆致が軽妙なのでとても読みやすい。 木下作品というのはだから好きさ。2018/10/18