内容説明
紀彦にとって相田家はごく普通の家庭だったが、両親は変わっていた。母は整理収納に異常な情熱を傾け、孤独を愛す建築家の父はそんな母に感心していた。紀彦も結婚し子供ができる。やがて母が癌で亡くなり、看取りのあと父も自ら入った施設で亡くなる。家のあちこちに母が隠したヘソクリが出現し…。限りなく私小説の姿を纏う告白の森ミステリィ。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。ミステリィ作家。某国立大学工学部助教授のかたわら執筆した『すべてがFになる』が第一回メフィスト賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
39
淡々と描かれる相田家。カギかっこ、所謂、会話のない文章は本当に読むのに時間がかかってしまいました。「グッドバイ」=「ありがとう」なのかな? 2015/05/17
rio
33
整理整頓に異常な情熱を傾ける母、孤独を愛する建築家の父。息子の視点から描かれる私小説に近いある一家の物語。淡々と描かれる両親の生き様の中に人間性が見え隠れし、微笑ましくなったり悲しくなったり様々な気持ちにさせられました。喪失感と対になる解放感が印象的で、前向きに頑張ろうという気持ちになります。激しく訴えかれられるというより、静かに諭されるような1冊でした。2015/01/03
神太郎
28
森さんもまた新しいジャンルにチャレンジしてるなぁとと思う次第。書き方はいつもの淡々とした感じなのだけど、家族というものをどう考えるか、年をとるってどういうことかを冷静に見るその姿勢はいつも通り。ただ、どこか感傷的な部分もあり。年老いてゆく親、いずれ年老いてゆく自分。なんとなくどうするかを考える。2024/03/12
佐島楓
28
文章が読みにくかった。何度か行きつ戻りつしながら読み進めた。他人の家のことを読むのが、これほど疲れるとは・・・これは私の個人的な問題と体調が絡んでいるからだろう。森先生ごめんなさい。2015/01/09
なつくさ
27
ノンシリーズ。タイトル通り相田家がグッドバイするまでのお話。解説の方が言っていたように小説を利用した壮大なサプライズだったらと思うと笑みが洩れた。十分あり得る。いつかは返す躰。生きているだけで、生きていく分だけ消費される自分に頑張ってると言ってあげたい。大切な人たちにはありがとうを伝えたい。いつかはグッドバイする世界にそれぞれが悲しみでも暴力でもなく、ありがとうを残すことを目標にしたら、世界は少しだけ優しくなれるのではないだろうか。2022/08/06
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