内容説明
優秀な営業マンの宗太は、理解ある夫、愛情深い父親として幸せな毎日を過ごしていた。だが、母親の介護を発端に夫婦に亀裂が入る。そして、たった一度の過ちが、順風満帆だった彼の人生から全てを奪っていく。誠実に生きてきた。懸命に生きている。それでも、人は「彷徨い」、時に道を外す。平凡な幸せが脆くも壊れていく様を描いた衝撃のミステリー。
著者等紹介
天野節子[アマノセツコ]
1946年千葉県生まれ。初めて執筆した小説『氷の華』は2006年自費出版からスタートした後、07年単行本として出版。その後、文庫化され三十五万部を超えるベストセラーとなる。ドラマ化もされ、六十歳の大型新人として注目を浴びた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アッシュ姉
61
天野さん三冊目。『目線』と同じく、関係者による推理が冗長に感じて段々飽きてしまった。動機も結末も腑に落ちず、タイトルもしっくりこないまま読了。私が彷徨っていたようだ。2017/05/12
なっち
18
誰目線で読んでいいのかよくわからなくてうまく感情移入できなかった。殺人を犯すからにはそれに至るまでの心情やその後の揺らぎなども詳しく知りたいと思ってしまう。『目線』を読んだときにも思ったけど,読者にとって非常に大切な情報を最後の最後まで明かさない感じがなんだかじれったい。2014/11/17
だい
9
1ページ目から物語に引きずり込まれる。無駄のない整った文章が心地よく、顔のない人物の描き方やストーリー展開がとても巧妙。ふわふわと浮かぶいくつかの謎が最後まで見当がつかず、ドキドキする。社会問題になっている認知症の母と息子を優しく描き、また夫婦の激しい口論の細かい描写は女性ならでは。ただ最後がとてもあっけなく、意外な展開に終わってしまい盛り上がりに欠け残念だった。2015/02/02
JKD
8
強烈に切ない。物的証拠がはっきりしない殺人事件、親の介護と肉親の失踪、そこに輪をかけて不倫疑惑が重なりとどめは家庭崩壊。ストーリーの奥深さについのめりこんでしまった。この事件の真相、なぜか他人事に思えないのはなぜだろう。心理的にやばいかも^^2014/10/30
Cinnamon
7
面白かったです。ひき逃げと行方不明、二つの事件が複雑に絡み合って、先へ先へと読み進めさせてくれました。千里と折原は、最後どんな約束をしたんだろうか?愛した人を守りたいという気持ちからの自死は、すこしずるさを感じる。終盤は、刑事が二人のつながりに思い至り、犯行のカラクリに気付くところなど、強引に感じたところもあった。2016/07/14