内容説明
仕事机を離れた私の今いちばんの関心は「晩ごはんは何を食べようか」である。それと愛犬“はな”のこと。父が死に、十二年介護した母も他界した。自身もがんの手術をしたが、今は“はな”との日々が愛しい―。老いも、喜びも、苦い記憶も、丸ごと味わうおひとりさまリアル・エッセイ。見栄や気取りの抜けた女の本音に共感多数、ファン急増中。
目次
そっくりな2人
散歩と手紙
それはトシのせいです
白いガーデンチェア
「はなちゃんのママ」
犬に噛まれて
幸せの形
はなの服を買う
ウナギを見ると思い出す
死ぬきとはみな独り
愛用のダウンジャケット
見栄と気取りと生きるということ
著者等紹介
藤堂志津子[トウドウシズコ]
札幌市生まれ。1987年「マドンナのごとく」で北海道新聞文学賞を受賞。88年「熟れてゆく夏」で第一〇〇回直木賞を、2003年「秋の猫」で第一六回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
43
半身不随の母親を看取り、札幌で愛犬はなちゃんと暮らす藤堂志津子さんのエッセイ集。雪国で暮らす大変さ、老人介護の過酷さ、自らの老いなどに触れつつ、ヨークシャーテリアのはなちゃんとの日々が楽しそうで微笑ましい。藤堂さんの読んでいる本に北大路公子さんが出てきて妙にうれしかった。2016/12/24
さなごん
12
この先はこうなるんだなあ・・・としみじみと。2014/10/02
くらげ@
8
(☆☆☆)エッセイ。ヨークシャテリアのはなとの暮らしの中、時折見られる亡き犬リッキーとの思い出話。何気なく手に取りましたが、親の介護や作者自身のがんについても気になりました。2015/10/30
なるときんとき
7
恋愛小説を書いている人なイメージだったので、独身は意外だと思って手に取った。若い頃に離婚経験があり、30代は華やかな恋愛をされていた模様(未婚男性からの求婚もいくつかあったとか)お母様の介護や自身の癌の通院手術も全部お一人でこなされたという過去の話にすごいなと思った。61歳でダメージジーンズを進められて「本体まるごとダメージなの」と言い返す藤堂さんかわいい。愛犬はなちゃんを可愛がる様子に、人間愛情を注げる存在がいるって大事だなあと思った。2017/09/18
ZEPPELIN
6
半分は愛犬日記。手も掛かるけど、どうしようもなく可愛いという親バカぶりには共感しまくり。もう半分は著者の人生。年を取り還暦を迎えたということは、自分の周りも同様に年を取ったということ。自分でも他人でも、病気や死や老化というのは生きている以上は仕方のないことで、過度に悩まずに「前向きに諦める」とは著者の言葉。どんなに頑張っても100年すれば死ぬのが人間。立ち止まっていても時間はどんどん流れてしまう。そんな中で、はなちゃんという愛犬に出会えた著者は間違いなく幸せ者。素敵な締めにホッコリした2014/07/19