内容説明
長い戦争が残したのは、荒れ果てた街と難民、そして孤児だった。元少年兵たちの集まる地域で暮らすヤナギは、小柄で細身な少年ながら、戦場での経験を買われ、売春婦のボディガードとして雇われていた。一杯の粥を分け合い、麻袋に眠る日々。だが彼にはどうしても死ねない理由があった―。ファンタジックな世界を舞台に描く、少年の成長物語。
著者等紹介
新藤晴一[シンドウハルイチ]
広島県生まれ。ロックバンド・ポルノグラフィティのギタリスト。「アポロ」でメジャーデビュー後、「ミュージック・アワー」「サウダージ」とヒット曲を連発する。発表するシングル曲の多くの作詞を手掛ける他、他のミュージシャンへの詞の提供も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スカラベ
51
ポルノグラフィティ・新藤晴一の処女作。因島繋がりで読んでみた。舞台は架空の世界ではあるが、20年余りの長く続いた内戦で、行き場を失い無力となった少年兵や難民たちがそこから脱出しようともがく姿を描く。いつもは歌詞を書く晴一が、その筆を小説へと向けた。歌だとちょっと抽象的な表現も多いかと思ったが、若いころから小説を書いてみたかったというだけあって、わかりやすくて物語にストンと入っていける。未来へと流れていく時の尾を掴めば生きていけるっていう表現も腑に落ちる。ラストは「ハネウマライダー」も彷彿とさせ、心地よい。2014/12/21
ロッシーニ@めざせ正社員
26
内戦で荒廃した街に暮らす元少年兵、ヤナギの物語。いつの世でも、戦争で苦しむのは女性や子供といった弱者ばかりですね。こんな時代だから、ヤナギは「悪い大人の真似事」をせざるを得なかったんでしょうね。 それから。以前からポルノグラフィティの歌詞は短編小説みたいだと思っていましたが、長編もいいですね。ヤナギたちのその後がどうなったのか気になります。2014/03/19
nanoko
16
失礼ながら、予想よりはるかに良かった。ポルノグラフィティの歌は大好きなんですが、正直、あまり期待せず読み始めました。舞台が架空の世界にもかかわらず、十分に現実的で、描写にも無駄がないために読みやすく、登場人物もそれぞれ魅力的で、続きが気になり、ページを捲る手が止まりませんでした。そしてラスト…明るさを持たせたラストは意外でしたが、爽やかな読後感を与えてくれました。面白かったデス。2013/08/22
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
13
ポルノグラフィティのギタリスト、新藤晴一による処女作。楽曲への作詞も多く手がける彼は、幼い頃から小説を書きたかったそうです。シチュエーションは違えど、今自分が置かれている状況にも通ずる気がしました。2016/09/27
かおり
12
単行本で読んでいたけど、文庫も買ったので再読。どっぷりはまったポルノファンの私からすると、「ザ・新藤晴一」という感じで随所にらしさを感じる。表紙は単行本の方が好みだったのにどうして変わっちゃったかなぁ…。次作はどんな雰囲気のものになるか楽しみ。2013/10/01