内容説明
失意の正太は台湾へ。心に虚無を抱えながらも、日々懸命に働く。そんな正太の前に、海を渡った瑠〓(い)が幼子を連れて現れた。再会を果たし活力を得た正太は菓子屋「七富士軒」を創業し、商いの世界で熾烈な競争を繰り広げる。やがて頭角を現した正太は、ある想いを実現するために動き出すが―。日本人のものづくりへの情熱を謳いあげた感動巨編。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年「眠りなき夜」で吉川英治文学新人賞、85年に「渇きの街」で日本推理作家協会賞、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、06年『水滸伝』全十九巻で司馬遼太郎賞、07年「独り群せず」で舟橋聖一文学賞、11年『楊令伝』全十五巻で毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shinji Hyodo
80
上巻から少し間をおいて読みましたが、なかなかに楽しめたし最後は感動でジワリとこみ上げるものがあった。 藤 正太 瑠瑋夫婦の台湾での生き様と故郷九州からの二人三脚の再出発をしかと見届けて大満足❗️しかしおはつさん、今時瑠瑋のごとある強かおなごは居りませんばい。2016/04/10
はつばあば
60
瑠瑋のような女になれるものならなりたい。どちらかといえば正太より男っぽい骨のある、それでいて人への気配りができて啖呵の切れる女!。九州にはこれだけの素晴らしい女性がいたのだ。その血を引く女傑達はしっかり今もご主人の手綱を握っておられることだろう(^^♪。浮気などしようものなら・・正太のように腰を抜かすハメになるかも(*´з`)。最後の〆は人は偉くなるか、年を喰うと自分のルーツを辿りたくなる。北方さんもそうなんだと納得。2016/02/29
オカメルナ
45
直前に百田さんの『海賊と呼ばれた男』を読んだ。どちらも明治の気骨のある男の一代記。何となく似ているような感あり。『海賊・・・』は男性受けのする作品の様に思えた。本作の主人公正太は大胆なのに緻密。何とも憎めないキャラで、とにかくカッコイイ!そんな正太を上回るほどの気風の良さと肚の座り具合に女も惚れてまいそうな女、瑠瑋の存在感が素晴らしかった。読み比べると非常に面白いと思う。『海賊・・・』も良かったけれど、私は本作の方がより好きだわ♪最後に瑠瑋が声を出している姿に涙が溢れた。もっと多くの方に読んでほしいな。2013/06/12
優希
42
北方作品にしては珍しくはハッピーエンドへと素直に展開していくように思います。2022/03/24
GAKU
41
上巻読了後から4時間ほどで下巻読了。上下巻通算で何度涙したでしょうか?読み進めていくうちに結末はほぼ予想つきました、そして予想通りにストーリーは進んで行きました。しかし、しかし、予想通りとはいえ、終盤は涙流しながら鼻水啜りながら読んでいました。解説に「平成の人生劇場、花と龍といえる出来栄え。」と書かれていましたが、まさに日本人ならば誰しもが心にグサリとくるような、感動巨編。改めて北方謙三氏の偉大さに感服。北方先生、一生ついて行きます。2016/02/20