内容説明
三ミリほどの小さな莟を押しつぶすと、黄金色の実が出てくるので、吐金草。風を好む蘭だから風蘭。花を摘むと、雨が降るから雨降花。…可憐で美しい草花の名前は、まるで昔の人々からの言葉の贈り物。植物を愛でる日本人の想いが込められた草花の名とその歴史を、ベストセラー『美人の日本語』の著者がひもとく。四季折々の111種を収録。
目次
第1章 旅する草花
第2章 恋する草花
第3章 瓜ふたつの草花
第4章 暮らしの中の草花
第5章 自然にちなんだ草花
第6章 夢見る草花
第7章 時を告げる草花
著者等紹介
山下景子[ヤマシタケイコ]
兵庫県神戸市生まれ。武庫川女子短期大学国文科卒業後、作詞家を目指し、「愛知・名古屋マイソング」などで受賞。初めての著書『美人の日本語』はベストセラーになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
145
募る恋心。花開くときを夢見て。宵待草。その願いとともに生きている幸せを感じて。…古くから愛される撫子。撫で慈しむ子どものように。繊細になった心持ちは、自然のささやかなことにまで動かされるもの。花は花なり鳥は鳥なりに恋をしている。早春。みずみずしく慎ましやかな香りが、いっぱいに広がってゆく。月見草のような切なさを。柳のようにしなやかに。夢見草のような儚さを。花ひらひら舞い降りていくゆかしさを。斑入り模様を愛でるように、あなたの傷も大きな魅力なのかもしれません。花心。素直な気持ちがあなたを幸せにしてくれます。2022/03/04
田氏
19
知らないものは目に見えない。知っている概念に巻きくるめられてしまうからだ。名前や言葉を知ることは、視野の解像度を上げる第一歩でもある。まあ、必ずしもよく見えることがいいってわけでもないだろうけれど、私はもうちょっとよく見たい派である。そこに生産性があろうがなかろうが、知ったり学んだりすることが楽しいのです。本文引用:「『草俯いて百を知る』自分の行く手しか見ていないと、視野が狭くなるものです。俯いたり、仰いだり、[…]そうすれば、前しか見ていなかったときには気づかなかったことが、わかるのではないでしょうか」2020/05/22
クラムボン
18
草花の名前を七つの章に分けて紹介する。タイトルは「花の日本語」なので、外来種のヒアシンスは和名の風信子。その代表格が秋桜と書いてコスモス…これは山口百恵の歌で知れ渡った。ただここで紹介する外来草花の多くの和名は余り定着していないようだ。辛うじてクローバーの白詰草とプラタナスの鈴懸木くらい…それだけ命名は難しいのだろう。それから月見草の紹介では太宰の『富岳百景』から「富士には月見草がよく似合う。」が引合いに出される。白色でなく黄金色と書かれているので、大待宵草のことだと言われているそうで、何やら興味深い。2024/06/16
sarie
13
草花の和名や由来が可愛いイラストと一緒に紹介されていて、花を知ることは勿論のこと日本語の美しさと遊び心を感じられる1冊でした。2016/07/13
けいこ
9
見開きでひとつの花を取り上げて111種が載っています。普通の図鑑ではあまり載っていない和名や謂れなどが載っていて、面白かったです。例えばヒヤシンスだと風信子。柳だと遊草とか。ただ、花の絵が墨絵で、少し色が恋しくなりました。
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- 和書
- 水色の本能寺