内容説明
桂木美乃は、京都の老舗和菓子屋『松吉』で京菓子職人の修業をしていた。ある夜、主人の松ヶ崎に連れて行かれた一軒家。座敷では都中の旦那衆が待ちかねていた。「男を知らん女なんぞ、一流にはなれしまへん」。男たちの目に曝され羞恥で硬直する身体に、松ヶ崎の繊細な指が纏わりつく。京の粋を性を通して描ききった、第一回団鬼六賞大賞受賞作。
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。京都女子大学中退。映画会社、旅行会社勤務などを経て、現在バスガイドを務めながら小説を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
227
性愛小説で知られる花房さんのデビュー作であり「団鬼六賞大賞」受賞作品でもあるらしい。いくつか読んだ彼女の作品中、これが一番性描写がキツい(好きだけどね・笑)。性描写が先走りしていて、美乃の、松ヶ崎への想いが霞んでしまっていたことが、少々残念。団鬼六賞へのエントリーということで、そちらの路線を狙ったんだと思われ。文章粗削りなところもあるかもですが、今日の作品へ至る道筋がしっかり見えて、ファンとしてうれしかったです。2016/04/28
しんごろ
146
デビュー作がこれか!とにかくきつい!しんどい!官能<エロという感じ。欲求と欲望のままに書いた感じがします。強烈のひと言につきますね。2019/04/28
starbro
129
以前から読もうと思っていて、ようやく読めました。第1回団鬼六大賞受賞作だけあり、完成度は高いと思います。SMバーで旬の話題の宮沢先生も美乃に調教してもらえば良いかも知れません。性癖にもよりますが、官能の嵐が吹くのでは?【読メエロ部】2014/10/25
りゅう☆
118
京都の老舗和菓子屋で修行をし今では教室を開くほどの美乃。そこで愛しい生徒由芽から結婚すると聞かされショックを受ける。老舗主人松ヶ崎から京菓子の技術だけでなく、普通では満足できない悦楽をも施された美乃。松ヶ崎への愛を断ち切るため独立したものの、彼の元を再び訪れ、由芽の性をも開花させる。いや~、男女の交り合い、濃厚なエロが凄すぎて…。凄いんだけど、そこに悦びと愛が感じられてイヤな気はしない。ただ結局どうなった?みたいな?感情移入できるかどうかより、どれだけの官能に衝撃を受けるかいうことでインパクトは大でした。2017/11/05
aquamarine
95
第一回団鬼六賞大賞受賞作。官能小説を書いたことのない著者がひょんなことから賞を知り、書いて応募した作品が見事な受賞作となったのはまさしく運命だったのでしょう。受賞後、最期の闘病中の氏に何度も女体がかけていないといわれて修正したそうですが、女体を和菓子に例えるなど読んでいて身の置き所がないほどで、ヒグチユウコさんのイラストからは想像がつかないほど、しっかり官能小説で見事に女性や行為を描ききっています。その中にある女性の執着心や開き直り、そして形は違っても女性がみんな隠し持っているであろう強さを堪能しました。2019/01/20