内容説明
一九四二年、“独裁者”が暗殺され生まれ変わったドイツは、凍てつくソ連の地で泥沼の戦いを続けていた。黒髪の女性将校マキ・シュタウフェンベルクは、甲冑を身に纏った装甲猟兵「ケルベロス」を記録映画に収めるため、最激戦区のスターリングラードへ旅立つ。孤立無援の最前線で奮闘する兵士たちの宿命を目にしたマキの胸に去来するものとは―。巨匠・押井守が描く、もう一つの第二次大戦。圧倒的リアリティーで迫る、傑作戦争小説。
著者等紹介
押井守[オシイマモル]
1951年、東京都生まれ。映画監督。「うる星やつら2」「機動警察パトレイバー」などを手がけ、「イノセンス」はカンヌ国際映画祭、「スカイ・クロラ」はベネチア国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えふのらん
6
ケルベロス・イン・スターリングラード。ウニヴェルマーク・デパート前に立つケルベロスのインパクトはさることながら、その具体的な遠景や容姿についての具体的な描写が、いつのまにか母なる大地の広軌に悩まされる独軍兵站等々の薀蓄、ドイツ俳優のパラマウントへの引き抜きは、ウーファがユダヤ資本に屈従した結果等々の誇大妄想的な関連付け、果ては国家権力という俯瞰にまで視野が飛んでいく。陰謀論的なスタイルではあるが、空を飛ぶような飛躍が爽快だった。2015/07/13
吉田 光貴
4
ある程度覚悟して読んだが、いわゆるオタクの人が書く作品で、読了するのに根気を要した。ただ会話の部分を始めとする物語は傑作といって良いと思うので、これは映像化を期待したい。2016/04/27
はばたくキツネ
4
押井守とは思えない読みやすさで驚いた。怪しいところはあるが、仮想戦記としては申し分ない世界観。軍事や兵器、映画に関する持論めいた蘊蓄を随所に挿入しつつ、それによって「装甲猟兵」という嘘が現実感を伴いつつ異形の存在として映っている。彼ら装甲猟兵が人狼へと変貌を遂げるシーンは圧巻。でありながらも彼らの本当の戦いを決して直接的に描写しない抑制の効いた演出は見事。しかし、マキが何の為に映画を撮るのか、ただそれだけに集束していくものと思っていたのに、何の脈絡もないチープな男女愛でオチてしまったのは一体何なのか……。2013/02/15
北白川にゃんこ
3
残虐で無敵の部隊。それは事実か妄想か広告か。どうでも構わなかったのかもしれない。2016/02/20
卯月
3
“独裁者”暗殺後の1942年ドイツ。宣伝中隊の女性将校マキ・シュタウフェンベルクは、装甲猟兵「ケルベロス」の記録映画を撮るため、独ソ戦中のスターリングラードへ向かう。改変歴史物だと思うが、史実に疎いため、どこが変わったか不明(汗)。暗殺より前の事項は史実通りと信じていいのだろうか。電撃戦とか独映画史とか知らないことだらけでも、ここまで熱弁奮ってくれると面白い。とりあえず列車砲カッコいい。最後のマキだけは陳腐なところに着地した気がするが、他は全部良かった。映画『Avalon』みたいな色合いの映像で見たい話。2015/10/18




