内容説明
秋雨が十日以上も降り続き、食べ物にも事欠く者が出始めた新兵衛長屋では、住人総出の炊き出しが計画された。折も折、会場となる空き家から、勝五郎が一見して値の張りそうな金無垢の根付を見つけ出す。先の住人は夜鷹と思しき女。しかも部屋には家探しをされた跡があったことから、小籐次は只ならぬ事態を察知する―。謎が謎を呼ぶ第十八弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年北九州市生まれ。日本大学芸術学部卒。『闘牛』でデビュー。99年に時代小説『密命―見参!寒月霞斬り』を発表するや、迫力のある殺陣と人情味溢れる物語で読者の圧倒的支持を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinupon
75
水戸家だけでなく、今回は伊達家まで味方に付けるとは・・・。恐るべし小籐次の人柄。読み応えあり。2016/05/01
文庫フリーク@灯れ松明の火
64
「仁に過ぐれば弱くなる」「義に過ぐれば固くなる」「礼に過ぐればへつらいとなる」「智に過ぐれば嘘を吐く」「信に過ぐれば損をする」頭文字の仁・義・礼・智・信の五訓は初代仙台藩主政宗公の遺訓。恥ずかしながら初めて知りました。酔いどれ様の住む新兵衛長屋の空き家から見つかった布袋様の根付。名工の造った象牙と黄楊(つげ)に金無垢の布袋様はその来歴辿れば、二〜三百両のお宝細工。その所有権主張する、一方には六十二万石の伊達藩の体面が、もう一方には成田山新勝寺・出開帳の総頭取を務めあげる事を悲願とする→続く2012/08/20
藤枝梅安
42
江戸全体が秋の長雨に降り込められ、長屋も逼塞状態。元気づけに空いた長屋の一軒で炊き出し。その竈から発見された根付が事件に結びついていた。深川の惣名主・三河蔦屋と仙台藩伊達家江戸屋敷が所有を争う事態となり、小籐次とおりょうにその采配が任される。冴えない爺侍と美貌の歌人の釣り合わない姿が江戸の人々を驚かせ、羨ましがらせる。相変わらず人脈が芋づる式に広がる展開。駿太郎の成長を複雑な気持ちで見守る小籐次の背中が小さくなっていく気がする。次は水戸行で、そのあとが成田山出開帳。休む暇のない小籐次である。2012/08/15
雅
41
デレ展開や日常のほのぼのした雰囲気から伊達家までもが絡んでくる大きな展開へ。相変わらずアッチコッチから引っ張りだこな小籐次。駿太郎の成長もありまだまだ先が楽しみ2019/10/01
TakaUP48
40
予想外の長い秋梅雨で、長屋住民はうんざり。小籐次の一声一金で炊き出しを計画、おえいが住んでいた空き家で準備中に、竈から金無垢の根付けを発見!雨が止み、望外川荘へ礼と見舞いに行き、数日間、駿太郎を含め3人での家族ごっこ。おりょうの大胆な言動・行動はドキドキもの!例の根付けは、いろいろあって、元は三河蔦屋先代のもの、根付けに目のない仙台藩主伊達斎義の持ち物といずれも譲らず、小籐次采配に持ち込まれた。望外川荘へ、藩主斎義と蔦屋染左衛門を呼び、不酔庵にて両者の顔を立てる小籐次采配を提示。一堂納得の破顔一笑なり!2021/06/11
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