内容説明
富山の刑務所で作業技官として働く倉島英二。ある日、亡き妻から一通の手紙が届く。そこには遺骨を故郷の海に撤いてほしいと書かれており、長崎の郵便局留めでもう一通手紙があることを知る。手紙の受け取り期限は十二日間。妻の気持ちを知るため、自家製キャンピングカーで旅に出た倉島を待っていたのは。夫婦の愛と絆を綴った感涙の長編小説。
著者等紹介
森沢明夫［モリサワアキオ］
１９６９年千葉県生まれ。小説、エッセイ、ノンフィクション、絵本と幅広い分野で活躍しており、小説『津軽百年食堂』は２０１１年に映画された（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
311
自分と未来は変えられる。高倉健の遺作を、脚本から小説に。やり直したい方はぜひ読んでほしい。きっと何かが見つかるはずだ。刑務所の教官、英二は病死した妻の洋子から散骨の願いを手紙で知る。長崎には妻の手紙がある。７日以内にそれを受け取るため、富山から車で旅に出た。旅の途中、山頭火を諳んじる男と出会う。他にも多くの人と関わった旅だった。そして、旅の終わりには何が待っていたのか？多くの読者から支持されている森沢こそ、この作品の作者にはふさわしい。健さん、あなたには多くの勇気をもらいました。ありがとうございます！2018/10/26
kanegon69＠凍結中
258
時間とは命のこと。生きているひと時ひと時を大切にするということは命を大切するということ。大切な言葉を頂きました。物語は序盤の伏線を主人公が富山から長崎へ向かう旅の中で人と出会いながら回収していく展開。これがまた様々な人生を送っている人達との出会いと奇蹟が描かれています。とても穏やかに、少し切なく、そしてとても温かな気持ちで物語を楽しめました。エンディングは、やっぱりちょっと泣いてしまいました。人が人を想う気持ち。こんな時だからこそ、尚更他人を想う気持ちを大切にしていきたいと改めて感じさせてくれた作品でした2020/05/03
小梅
252
これは映画「あなたへ」の脚本を原案に書かれた小説だったんですね。映画は観ていないですが、それでも高倉健さんしかイメージできない作品でした。凛…風鈴の音が聞こえてきます。2017/04/26
おしゃべりメガネ
218
完全に森沢さんワールドに引き込まれ、アッという間に読了でした。映像からの小説化だけに登場人物が既に役者さんにより特定され、イメージしやすく読めたのも良かったです。特にワケありの「杉野」さんは北野武さんが演じているのは、ドンピシャでした。今更ながら、多くを語る必要のない夫婦の絆をこれ以上ないくらい優しく、静かながらも強く、たくましい愛情で書き綴った森沢さんの筆力は圧巻でした。人と人とのつながり、そこから生まれる思いやりなど、一文一字が本当にピュアでココロが洗われるようでした。素晴らしい夫婦愛を『あなたへ』2014/11/23
文庫フリーク＠灯れ松明の火
195
【風／２２才の別れ・改】あなたへ「ありがとう」って書けるのは今日だけ。明日になって、またあなたの暖かい手に、触れたらきっと書けなくなってしまう。そんな気がして・・。私にはあなたとの出会い、人生で最良の奇跡でした。今はただ１５年の月日が愛しくて、愛しくて、涙こぼれます。あなたは、あなたの素敵な人生の一歩を踏み出して下さいね。ひとつだけ、こんな私のわがまま聞いてくれるなら・・海になった私に逢いに来て下さいね。あなたを見つめています。いつでも、いつまでも。2014/06/08
