内容説明
村の男たちが仮装して、家々を訪ねる祭事・粥釣の夜。十六歳のみつの住むあばら屋にも五人の男が上がり込んでいた…。その翌日から、村人たちは神社に集い、奇声をあげ、祝詞を叫び、踊り出す。白昼堂々、交わるものたちも出る始末。荒れた世で、なにが人々を突き動かすのか?土佐にあった集団憑依事件を元に、大騒乱の顛末を描く傑作長編。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学卒業。1993年に『死国』を発表。96年「桜雨」で島清恋愛文学賞、「山妣」で第一一六回直木賞を受賞。2002年には、「曼荼羅道」で柴田錬三郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさきち
60
江戸時代に土佐で発生した実際の集団憑依を題材にした物語。狗神を扱ったものということでおどろおどろしいものを期待していたせいか、あまりそちらには深入りせずあっさりとした印象で少々拍子抜けし、むしろ藩士と農村の娘との恋愛物語のような印象が強かった感じです。また描かれている出来事も起伏に乏しく、全体的に話の密度が薄いままだらだらと流れていく感じが小野不由美さんの「屍鬼」を想起させる一冊でした。2016/06/21
carl
20
方言、漢字(意味)難しかったぁ~、史実に基づいた集団憑依の話だったけど・・感情移入できなかった。2018/01/10
けえこ
11
狗神のモチーフとなった事件のノベライズ。あとがきにもあるように、日本版エクソシスト。 狗神憑きとは村人の潜在意識が具現化したものなのか。2020/01/03
タカシ
8
土佐の村で集団憑依事件が発生、憑依は村人に伝搬していき…。途中から挫折して流し読みでした。2018/08/04
バーベナ
8
集団で狂っていく狗憑きと言われた現象、その史実をもとにしている。狂っていく農民たちの生活は、年貢のために働き詰め、身分は一生農民。もちろん旅行などできず、土地を離れることは死を意味する。その諦めと閉塞感の日々。ここがとても丁寧に書かれていて、何かをきっかけにして、もう狂ってやる。何が悪い。と、なってもおかしくはない、と思わせられる。そして、狂った人々は幸せそうでもある。2015/01/29