内容説明
グアテマラの古都・アンティグアに家と仕事と家族を見つけた年子の弟。ある夏、姉は十三年ぶりに弟一家を訪ねる旅に出た。まばゆい太陽とラテンの文化で、どんどん心身がほぐれていく。そして陽気に逞しく暮らす人たちと過ごすうち心に浮かんだのは、外国を知らずに逝った父、家事にあけくれ続ける母のことだった。旅と家族をめぐる名エッセイ。
目次
歯ブラシとコンピューター
イランと竜巻
海草とチャッカマン
どろぼうと薬屋
メルカドと富士山
鮫とシエスタ
トイレとロダン
前世と宇宙戦争
夜遊びと呪文
落ちる男と転がる男
靴と愛人
松茸とワチピリン
ゼリーと辞書
物乞いとアミーゴ
たばこと神様
甘い水と苦い水
おやじと珈琲
著者等紹介
片桐はいり[カタギリハイリ]
1963年東京都生まれ。成蹊大学卒業。俳優として、舞台、映画、テレビと幅広く活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
569
片桐はいりさんのグアテマラ滞在記。この人は個性的な女優さんだが、エッセイストとしてもなかなかのもの。感性の開放度が人並外れて豊かなことが、まず第1.それが異文化の中で目と心とをいっぱいに開かせ、そしてこれに語りのうまさが加わっているのである。弟さんの暮らすアンティグアはとっても魅力的。治安に不安がなければ、すぐにでも飛んで行きたい街だ。町の南には富士山にそっくりのボルカン・デ・アグア山(おそらくは成層火山)が鎮座する。世界遺産の街並みもエキゾティックだ。そこに暮らす人々もラテン気質のおおらかさに溢れる。2020/03/04
ミカママ
558
ああぁ、なんて楽しい読書。おおざっぱに見えて実は選び抜かれた語彙、そしてリズム感あふれる文章。なんといっても魅力なのは、はいりさんの家族(義理含め)のあったかさ。彼女がグアテマラを去るときには、わたしまで込み上げてくるものがあった。テクノロジーのおかげで距離は縮まったとはいえ、離れ離れはとてもツラい。そうかといって近すぎればまた不満が出る。難しいね、家族ってね。2021/10/27
tetsubun1000mg
164
片桐さんの著作は「もぎりよ今夜も」「わたしのマトカ」から3冊目となる。 前2作ははいりさんの好奇心と現地の人との触れ合い、すこしの寂寥感が感じられた本でした。 しかしこの本は冒頭から思わず声を出して笑ってしまうエピソードがいっぱい。 グアテマラという国は全く知りませんが、おおらかな国民性と、富士山のような山が有り、温泉があることは分かりました。 はいりさんはよっぽどこの国が合ったんでしょうね。十二分に楽しんだ様子が伝わってきます。それに文章がうまいこと! フリとオチが有り、三谷幸喜さんクラスの面白さ。2019/07/26
おしゃべりメガネ
147
片桐はいりさんのエッセイ第2弾はグアテマラに住む2つ下の弟とのコトが書かれた旅行記です。とにかく丸々一冊、グアテマラでのコトが書かれているので、なんとなくこの一冊でグアテマラに行った気になれてしまいます。弟さんの奥さんはじめ、グアテマラの人々は常にエネルギッシュで、明るく、家族を大切にしているように感じます。日本にはあまりない'自由'さが溢れ出ていて、自分ももっとゆとりを持たないとなと改めさせてもらえます。本作を読み、改めて自分も両親や兄のコトをもう少ししっかりと考えてもいいのかなというキモチになります。2019/11/26
ミエル
132
これはおもしろい!女優のエッセイなんて…と思ってはいけないほどの筆力とセンスに脱帽。クオリティが高すぎて道端で宝物を拾った気分。容姿も含めてメンタルも頭脳も唯一無二過ぎて、今更ながらすっかりファンに。本作は弟家族を軸にした日本とグアテマラのファミリーとグアテマラのローカル文化が中心のエッセイ。しかし、コミュ力高いなぁ。この才能が素敵な体験とエッセイの源なんだろう。ありのままをさらけ出せるメンタルの格好良さって人柄にも文章にも現れるのね。他作品もぜひ読みたい。2018/10/03