内容説明
「変わらない愛って、信じますか?」小説家を目指す潤吾は、失恋の痛手のなか、韓国からの留学生・崔紅と出会いそう問われる。そこから始まる狂おしい愛の生活―。やがて二人は、小さな行き違いで決別するが、七年後の再会で愛が蘇り…。韓国人気作家・孔枝泳(コン・ジヨン)とのコラボレーションで放つ渾身の恋愛長編小説。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959年東京都生まれ。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞。以後、作家、詩人、音楽家、映画監督と、幅広いジャンルで活躍。97年「海峡の光」で第一一六回芥川賞、99年『白仏』のフランス語翻訳本『ル・ブッダ・ブラン』で仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。パリ在住。現在は日仏を往復しながら執筆活動に取り組んでいる。小説、詩集、エッセイ集、写真集など、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sakap1173
61
「サヨナライツカ」を読了したので、辻さんの作品を。 日本人の彼と韓国人の彼女の若くて無敵な恋の終焉と7年越しの邂逅のおはなし。 辻さんらしく切なくて、でも希望に満ちた作品でした。2022/04/04
桜もち 太郎
20
愛のあとにくるものって何だろう。小説家を目指す学生の潤吾は、手痛い失恋のなか韓国人留学生の紅と出逢う。愛し合う二人の間に生じる感覚のズレ。日本と韓国の間にあるもの、そしてないもの、僕が誰だかわからなくなる。「人間は後悔だらけの動物である」若い二人は感情のコントロールをすることができなかった。7年後小説家として韓国の地を踏む潤吾。奇跡の出会いはあるのか。民族間の違い、誤解のなかで別れた二人。同じスピードで走り出した二人が語り合う言葉は、あまりにも当たり前のものだった。語りは潤吾。もう一作は紅の物語らしい。2025/02/02
かなばる
20
異国での孤独の深さ、背景が違う者との理解の難しさといったところが深く描かれているのはいい。個人的には紅が消えたあと、カンナの存在がいかに潤吾の支えになっていたかという描写が心に刺さった。恋人でもないが、仕事でも私生活でも最も身近にいた異性。しかも、自分の辛いときに寄り添ってくれて、自分の夢の道筋をつけてくれた人・・・。カンナを拒絶した際、「この人をこんな目にあわせる権利など僕にはない」という心情は、いかに目の前の女性が複雑で重要な存在かを表しているのではないか。男と女は「恋愛」だけでは割り切れない2022/12/17
まゆこ*
18
理解すること、、その人と同じ立場にたって、同じ目線で物事をみないと理解なんてできるはずがない。日本と韓国には大きな壁があるけれど、それを具体的に大きな視点で描いてはいないけれど一番身近な問題として考えさせられるような内容でした。言葉にすることの強さと弱さ。理解することとは。2014/11/23
sssakura
17
薦められて読んでみたら、切なくて、でも清々しくて、とっても良かったです。尹東柱さんの詩ももっと読んでみたくなりました。最後が特に好き。運転手さんと一緒でビックリしましたが。私も誰かに薦めよう♪2015/07/20