内容説明
友人に裏切られ失恋した過去の体験から、恋に臆病になった25歳のOL茉莉亞。ある雪の降る夜、捨てられた古いピアノとその鍵を拾う。長い間顧みられず音の狂ってしまったピアノの音色を取り戻そうとするうちに、茉莉亞は固く閉ざされた自分の心と向き合い、次第に気持ちがほどけていくのを感じるのだった。運命の人を捜す旅を描く感動純愛小説。
著者等紹介
井上香織[イノウエカオリ]
青山学院大学文学部教育学科卒。高校英語教師を経て執筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エドワード
25
古本や古道具を使えない知人がいる。前に使っていた人の念がこもっているからだ。銀行員の美月茉莉亜は、粗大ゴミの山から黒い箱型のものをみつける。それはスコットランド製のダルシトーンというピアノだった。驚いた彼女はピアノを部屋へ運ぶ。ダルシトーン。YouTubeで聴くと音叉ピアノという独特の音がする。ピアノを弾いた茉莉亜は、最愛の母を亡くす少女の夢を見る。それは茉莉亜の境遇と同じだった。私は少女と茉莉亜の心が共鳴―音叉のように―したのだと思う。元恋人、先輩行員、義弟たちとの恋愛ドラマを挟むかわいらしい掌編だ。2024/04/26
三色かじ香
2
七海と榊の優しさが好きです。茉莉亞の性格も好感がもてる。冬馬がとても憎たらしいのだけど、茉莉亞や自分とは別世界に生きてる人、と受け入れるしかないですかね。好きな話だったけれど、最後が少し急ぎ足に感じました。2017/11/15
まさよ
0
ダルシトーンのピアノが奏でる不思議な物語ですね。ホッとする話です。2013/12/22