内容説明
淫乱に生きるしかない詩文。平凡に生きるしかない満希子。仕事に生きるしかないネリ。平凡に生きるはずだった美波。かつて私立女子校で同級生だった四人はそれぞれ別の人生を歩んでいたが、美波が四十一歳で事故死したことから、運命が絡みあう。残された三人の胸に愚かしくも残酷な「あの頃」が蘇り、それぞれの「嘘」が暴き立てられていく―。
著者等紹介
大石静[オオイシシズカ]
1951年東京都生まれ。脚本家・作家。日本女子大学文学部卒業。97年、NHK朝の連続テレビ小説「ふたりっ子」で向田邦子賞と橋田賞を受賞。主な脚本作品に「長男の嫁」「アフリカの夜」「功名が辻」など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りゅう☆
109
美波が事故で死んだ。満希子は女子高時代の友人で医師のネリ、そして美波と一緒に死んだ河野の元妻詩文と連絡を取る。そして蘇る彼女ら4人の高校時代の出来事。当時美波の恋人河野の心身を奪った詩文は今でも淫乱ってことに嫌気がさす。美人だった満希子は普通のおばさんになり、河野をいつまでも忘れられず彼に似た男と結婚するほど執着する美波に恐怖すら感じたけど、仕事一筋クールなネリが英児に溺れそうになるも引き際がカッコイイ。女のドロドロありで好きなストーリーではないけど、彼女らの嘘の背景がきちんと描かれてるのはスッキリ。2018/12/29
mr.lupin
57
高校時代の四人の同級生の物語。人それぞれ色んな事情がありそして絡み合う。登場人物が少ないわりに、誰が誰だかわかんなくなってしまって、ちょっと無理があったのかな、そんな読後感です。女性の怖さ、垣間見ました。☆★★★★2016/01/29
M
53
まぁ、昼ドラの脚本のような。退屈な始まりでしたが、いつしか詩文という女に着目して読んでいました。ひとりの人間の人格形成の根幹のようなものを勝手に感じて無理矢理楽しみました。彼女にとって人の恋人を奪うことや性行為等の刹那的破壊的衝動は「生きている実感」「哀しみからの逃避」…若いときにはそんな魔性が儚く映えても、いざ四十路を越えたときに友人への羨みとともに詩文自身が痛感するのは、若年時代の地道こそがのちに華開くという、もはや取り戻せずもう持ち得ないもの。それでも、生きる限り精一杯進むしかない…。2016/04/24
竹園和明
36
直感が当たった。タイトルだけで面白そうな気がするもんね。著名な脚本家らしい軽妙で読み易い作風ながら、女子高時代からの同級生4人による騙し騙されの人間模様、そして大人になってから起こるある事故をきっかけに25年振りに関わる彼女らと周辺の者達の物語。読み手をグイグイ引き込む可読性が素晴らしい。詩文、美波、満希子、ネリそれぞれのキャラの強さが際立つ面白い作品だった。後半また別の事件が起こり、物語は更なる佳境へ。フィクションとはいえ、本作みたいにいろいろ起こるのが人生。でも、だから生きる事は面白いんだよね。2024/10/20
エドワード
33
女子高校の同級生、コケティッシュな詩文、ガリ勉のネリ、優等生の満希子と腰巾着の美波、皆41歳の2003年。一番影の薄かった美波がニューヨークで恋人と事故死する劇的な場面から一気に1980年へ。見合結婚した満希子と美波のつぶやき「逃げっぱなしで生きている今より、あの頃の方がずっとよかった」「子供の頃には到底越えられないと思ったハードルを、四十代になるとこんなにも簡単に越えられるのか」はじめ、名セリフの大連発、電話の場面のハラハラ感など、彼女たちと同学年の私には実感溢れまくりです。ドラマも印象的でした。2015/08/17