内容説明
「このまま、殺して…」。花火大会の夜、エクスタシーの頂点で冬香が発した言葉に誘われるまま、菊治は彼女の首を絞める。最愛の女を殺めた男。彼を待っていたのは、苛烈な取り調べと孤独な法廷闘争だった。故意か過失か、それとも愛の証しか。菊治が最後に受け入れた罪と罰とは?論理では測れぬエロスの深淵を問い詰めた文芸大作。感動の結末。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。医学博士。58年札幌医科大学医学部卒業後、母校の整形外科講師を務めるかたわら小説を執筆。作品は初期の医学を題材としたものから、歴史、伝記的小説、男と女の本質に迫る恋愛小説と多彩で、医学的な人間認識をもとに、華麗な現代ロマンを描く作家として常に文壇の第一線で活躍している。70年「光と影」で直木賞受賞。80年に「遠き落日」「長崎ロシア遊女館」で吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
78
恋愛性愛小説は好きで、小池真理子・高樹のぶ子・立原正秋・村山由佳…らのそれは読んできたのに、渡辺淳一は「読まず嫌い」で終わるはずだった。幸いにも『失楽園』『愛の流刑地』の長編を読むことが出来た。この二作、私的にはミリオンセラーの『失楽園』より、再起を期して「小説家への夢よもう一度」と50歳を超えた男が主人公の『愛の流刑地』の方が面白かった。どちらも不倫の恋の話だが…。そこを議論すると「恋愛性愛小説」が存在しなくなるので・・・。2024/10/09
おいしゃん
46
上巻読み、しばらくいいかな…と思っていたが、続きが久しぶりに気になって下巻へ。冬香を殺したあとの裁判が話のメインとなる。完全なる第三者である、バーのママからの手紙が最後に出てくるが、女性から見た愛について強く考えさせられ、タイトルにも納得。著名な作品だけあり、やはり単なる官能小説ではなくホッとした。2018/01/07
りょうこ
43
上巻よりは何かしらの展開があったのでさっくり読めた。終始男性目線でのお話展開なので、ちょっと置いてけぼりを食らわされた感じがします。まぁもしかしたらこれが渡辺淳一ワールドなのか?このワールドはまだ私には理解不能(笑)豊悦好きだからまぁいっか..(笑)ただ、率直に感想を1点だけ言わせてもらえれば..『すごおい』のこの言葉のチョイスがなんか..キミワルイ。なぜただの凄い!がすごおいになるのだ?男性目線的にはすごおいが良のか?わっからーん!\( ˆoˆ )/2016/02/13
恋空
23
改めて読み返して、究極の愛の形をみたような気持ちで感動しました。いやらしさは無いです。冬香が羨ましいような気さえします。でも、そんな相手に出会ってしまったら、、幸せだけど怖いかな。2020/03/19
しょーくん@本棚再編中
22
★★★★★★☆☆☆☆愛とは何か?それを考えさせられる作品でした。前半は官能的な感じで進み、ある出来事を期に、倫理観を問う流れになります。私は、主人公のとった行動には理解できませんが、責めることもできない気がしました。きっと、愛し合う二人にしかわからない何かがあるからだと思います。2010/11/19