内容説明
当麻の評判は日ごとに高まった。そんな時、近江大の実川助教授から二歳の幼児の「肝臓移植」を手伝って欲しいと頼まれる。一か八か、残された方法はそれだけだった。快諾する当麻だが、抜け駆けは許さんとする他の外科医の妬み、手術の失敗を恐れる大学病院の保守的な壁にぶつかってしまう。風前の灯となった生命を前に当麻達の苦闘が始まる。
著者等紹介
大鐘稔彦[オオガネナルヒコ]
1943年愛知県生まれ。京大医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約六千件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
130
再読。当麻が目の前の患者に向き合い治療を施すことで、その評判は自然と高まっていく。その一方で、大学病院絡みの医者達の風体が酷すぎる…患者への説明に繰り返す“ミリッツィ”っていったい何だよ!医療小説で“淫靡”という言葉が引用されるとは呆れるばかり…他病院での大学医師の不始末を、いとも簡単に当麻が治癒する様は心地よいけど…そんな中で対抗馬として実川教授登場!腐った大学にも秀でた存在いたんだと驚いてしまうのが滑稽(笑)しかし彼もまた学内で妬みや保守思考に翻弄される予感。自己保身の麻酔医への最後の一喝には痺れた!2019/02/12
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
74
第2巻は肝臓移植。近江大の実川助教授から幼児の「肝臓移植」を手伝って欲しいと頼まれる。一か八か、残された方法はそれだけだった。快諾する当麻だが、抜け駆けは許さんとする他の外科医の妬み、手術の失敗を恐れる大学病院の保守的な壁にぶつかってしまう。風前の灯となった生命を前に当麻達の苦闘が始まる。 うーん、いつの世でも出来るやつをねたんで足を引っ張るやつらがいるんだよね。★★★
Tsuyoshi
69
部下である青木のダウンやエゴとプライドのみを炸裂させ最後は自滅してしまった野本。病院内の周囲の人々もゴタゴタに掻き回される中で淡々と我が道を行く当麻が何ともカッコよく、特に上司の顔色や体裁を気にする麻酔医に対しビシッと決めた一幕は爽快だった。当麻の望む肝移植においても一進一退がありつつ続巻へ。2018/08/10
りずみぃ
47
出木杉君の主人公当麻はより高みへ。淡々とひたすら我が道を行く。ダメ外科医野本はよりダメに。板挟みの若手医師はストレスで胃をやられる。やっとカウンタパートになるような腕と野望を持った医師実川が登場。本人への癌告知がまだ当たり前ではなかった時代、女性の地位の低さに驚きながら次巻へ。2018/05/01
キムトモ
46
本当にダメダメ医者が出てきて医師当麻を際立てるが、当麻と双璧する技術を持ち志高い医師や老齢ながら見立てが良い肛門科の医師も登場し当麻がいずれ肝移植を行ってしまうんだろう的な布石も描写され…医者のモラル喪失云々のネタは終わり当麻の医者👨⚕️としての本当の苦悩が始まりそう…(ノ-_-)ノ~┻━┻まだちょっと専門語についていけないなぁ〜〜2019/04/16