内容説明
戦争の本当の悲惨さを、なぜ日本のメディアは伝えないのか!米国のエゴ、テロリスト掃討の犠牲になる市民、捕虜への虐待、一方的で横暴な捜査…。現在イラクで日々発生している悲劇は、アフガニスタンですでに起きていた―。国連難民高等弁務官として戦地・カブールで悲しみの現実に触れ続けた著者だからこそ描けた“悲しみの真実”とは。
目次
1 アメリカの一撃
2 戦争しか知らない子どもたち
3 神の戦士たち
4 オサマ・ビン・ラディンという現象
5 夏の総攻撃
6 アフガニスタンの女たち
7 カブール・日曜、午後四時の電話
8 ネイビーブルー・チルドレン
9 私は君の側にいる
10 国家、あるいは私の独立
11 hard revenge‐no.3
著者等紹介
山本芳幸[ヤマモトヨシユキ]
1958年大阪生まれ。名古屋大学大学院法学研究科助教授。大阪外大及び大阪大学を卒業後、大阪大学大学院在学中に、南カリフォルニア大学、オックスフォード大学に留学。法学修士。UNHCR、IOM、UNDPなど国際機関勤務を経て現職
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
統体としての国連は信頼でできない。しかし、この著者の働く現場での国連の活動は評価して余りある、というのが本書の第一印象である。著者は長年アフガニスタンに駐在して活動を続ける国連難民高等弁務官。アフガンに本格的な爆撃が開始され、多数の国内難民が行き場を失ったのは、必ずしも9・11以降のことではない。1979年にソ連によるアフガン侵攻が始まり、それに抵抗するムジャヒディン以来ずっと戦乱の状態が続いている。本書によって初めてアルカイダがわかった。これまでは西側メディアの伝えるそれしか知らなかったからだ。2018/07/19
James Hayashi
27
名古屋大大学院助教授。国連難民高等弁務官としてアフガンに勤務。その当時のブログをまとめたもの。タリバン=テロリストではない。現地の事情がわかる。2019/11/01
ののまる
13
そうか。サイードの『オリエンタリズム』読もう。だいぶAfghan本読んだけど、アフガン人自身の本も読んだけど、まだ私も西洋側からの一方的見方をしているかもしれん。2018/05/31
nakmas
12
これは衝撃的なレポートだ。 アフガンという国がずっと国際社会に翻弄されてきたこと、 オサマ・ビン・ラディンの生い立ち、 日本人の世界での立ち位置(良くも悪しくも)2018/07/31
Ponyo
7
再読本。9.11にあまりに衝撃を受けて、恐らくこの本が出版されて間もない頃に一度読んだ。報道ともまた異なり、現地での支援という立場で人々に向き合っていたからこその多角的な視点でアフガニスタンが描かれており、当時も非常に考えさせられることが多かったのだろう。10年以上記憶の片隅に残り続けており、今回のアフガニスタン情勢で読み直した。西洋原理主義・アメリカ原理主義という思想、人道支援の在り方、国際的な日本の立ち位置。20年という年月を感じさせないほど、同じことを考えさせられる。私の中では非常に重い一冊。2021/09/12