内容説明
叱るとは、あなたはすばらしい人間だと教えること―。「本物を、本気で」をポリシーに、三一年の歳月をシンクロナイズドスイミングのコーチ生活に費やしてきた著者。シドニー五輪での銀メダル獲得を達成した指導法とは?「叱るときは、全員の前で筋を通す」「時には理屈抜きにやらせてみる」など、潜在能力を引き出す指導の極意を伝授する。
目次
第1章 愛があるなら叱りなさい(叱ることで、いまある自分を認識させる;叱ったら、欠点克服のアドバイスも忘れずに ほか)
第2章 強い心・感動する心を育てたい(オリンピックは、戦って勝つことに意義がある;本気で、夢や憧れを持たせること ほか)
第3章 心をひとつにするために(垂直思考ではなく、水平思考でいく;過去の成功にしがみつかず、新しい何かに挑戦する ほか)
第4章 人の上に立つからには(本気で信じれば、人間は土壇場で力を出す;本番前に掛ける言葉は、きめ細かく慎重に ほか)
第5章 学校の役割、家庭の役割(家庭のしつけの大切さ;教師は「完璧」幻想を捨てよ ほか)
著者等紹介
井村雅代[イムラマサヨ]
1950年大阪府生まれ。85年井村シンクロクラブを設立。奥野史子が、バルセロナ五輪で銅メダル。シドニー五輪では立花美哉・武田美保がデュエットで初の銀メダル、チームでも銀メダルを獲得。2001年の世界水泳選手権では、デュエット金メダル獲得
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柔
29
「本物を本気で」時には体罰が必要なこともある。とまでも。誰だって嫌われたくない。しかし選手を思うからこその行動である。時代には背くが、愛情と情熱はハンパではない。「叱るときは分かりやすく、お天気屋ではなく、しつこくなく」貶した後には、具体的なアドバイスをする。叱るポイントとしては昔のことを引き合いに出さない。現行犯で叱る。言い忘れたらもう言わない。どんな子にもいいところはある。決めつけない。本番前に掛ける言葉には、性格や状況を見て細心の注意を払う。苦しい時こそ、そばについてあげる。信念は伝わる。2019/11/27
James Hayashi
17
シンクロの日本代表コーチから中国のコーチになぜ変わったのだろうかと数年思っていた著者。先週のテレビでも怒るのでなく叱ることを強調されていた。日本、中国に限らずコーチとしてメダル獲得に貢献された方で指導法に定評がある。昨年から日本代表コーチに再就任されたが、世界選手権でメダルの期待がかかっていないチームに「日の丸背負って演技してこい」といって銀メダル。大阪のおばちゃんで怖いが、自分の潜在力を引き出してくれるような指導法を行い、注目していきたい女性。2015/07/02
えりすこ
4
IP細胞の山中教授がどこかで勧めていたので読んでみた。このくらいの実績がある人だと、さすがに考え方も一流だな、と改めて思う。「若い人たちを叱るには、自信を持つことも必要ですが、もっと大事なことは、自分もふつうの人間であり、完璧な人間ではないことを自覚することです。」2017/04/26
てっちゃん
1
オリンピック選手になるべくしてなっているというのを感じた。妥協せずに厳しい練習をして努力を続けられるのはある種の才能だと思うけど、そういった環境を作って、チームとしても個人としても一人一人の選手と向き合い、成長させることができる指導力は素晴らしいと思う。徹底した考えの上に成り立つブレない判断基準をもつために、様々な経験を通して学ぶことが大事だと感じた。野球の野村さんと同じで、自分の欠点に目を向け、徹底的に練習して乗り越える姿勢は、日本的な教育の原点なのだと思う。2015/10/10
ラキ
0
この本を読んだ後の感想は「この人こそ阿久津真矢だ!」ということ。 阿久津真矢とは、ドラマ「女王の教室」に出てくる生徒に甘えを一切許さない鬼教師のことである。 井村コーチは愛のムチとして、選手だけではなく、自分にも厳しい。そして、本物の実力を発揮するためには常に「本物を本気で」のスタンスである。 今の日本には足りないものがこの本に凝縮されている。 2013/01/17