内容説明
突然の交通事故。病院のベッドで目覚めたら記憶喪失になっていた。家族や友人、恋人のことだけでなく、どうやって食べるのか、寝るのか、トイレに行くことさえも忘れていた…。新しい自分と向き合いながら生きて、草木染職人として独立するまでの12年間。
目次
第1章 ここはどこ?ぼくはだれ?
第2章 これから何がはじまるのだろう
第3章 むかしのぼくを探しにいこう
第4章 仲間はずれにならないために
第5章 あの事故のことはもう口に出さない
第6章 ぼくらはみんな生きている
著者等紹介
坪倉優介[ツボクラユウスケ]
1970年大阪府生まれ。89年大阪芸術大学入学。同年6月5日、帰宅途中に乗っていたスクーターで交通事故に遭い記憶喪失になる。94年、京都の染工房「夢祐斎」に入社。染師・奥田祐斎に師事する。2001年5月、草木染作家としてデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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tomosaku
5
小説より小説のような事実、ってのは世の中枚挙に暇がないけど、“記憶喪失”もそのひとつかもしれない。物語の中ではあっさり使われるそれを、実際に体験してしまった著者による生々しい手記。18歳時の事故で著者が失った記憶は、名前や家族の記憶に留まらず、数の数え方から食事やトイレなど生理現象そのもの、そして感情。その状況自体の恐ろしさが背筋を冷やすが、周囲の厳しさと優しさ、そして家族の難しさと供に乗り越えていく様が描かれ、記憶と社会との繋がりを考えさせられる。2016/01/20
ととろ
3
ドラマとかで見る記憶喪失とは違い、言葉も味も、生活に必要な行動の全てを忘れてしまうこともあるんだね。ほとんどのことを忘れたまま、「新しい過去」を積み上げていく。そこに大切なものが沢山できたそうで、今は事故前の記憶が戻ることが怖いそうだ。だけど、絵の才能はやっぱり変わらないんだね。手首の骨が折れてて、表紙のような絵は描けないよ…。私と同じ年生まれなので、この頃私はあんなことしてたなあ、と思い出しながら読んだ。2021/01/23
みこよこ
2
事故にあった当人とその時の周囲の家族の手記が交互に綴られている。出版されてからもう20年以上経つ。坪倉さんに絵があって、それを記憶をなくしても身体が覚えていて、よかった。2022/10/31
りさ
0
記憶喪失について、家族について考えさせる1冊でした。2016/11/11
メリエンダ
0
18歳ですべての記憶を失くした青年の手記です。 記憶を失うことがどういうことなのかがなんとなくわかります。 時間の経過とともに、子供から大人へ成長していくように成長するようです。 このようなことを記録に残すってすごいですね。2007/09/09
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