内容説明
「いや…」かそけき声で小夜が言ったとき、彩継は意外だった。最初こそ全身で拒んでいた小夜だが、いつしか養父となった自分の愛撫を待っている。もう、どんな男にも渡せない…。彩継の指や口を使った「検査」は夜ごとエスカレートしていく。人形のように翻弄され妖しく揺さぶられる小夜の前に、彼女を慕う血のつながらない兄・瑛介が現れた。
著者等紹介
藍川京[アイカワキョウ]
熊本県出身。福岡女子高校卒業後、現代文芸研究所の田端信氏に小説の指導を受ける。1989年、作家デビュー
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感想・レビュー
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lotta7
1
[図書館]男性を性的に満足させる官能(ポルノ)小説とは違うようです。少女が性に目覚めていく過程が丹念に描かれています。小夜侘助等の草木や、着物の知識があると更に深く浸れるかも。本書はジャンル的には耽美なのでしょうか?女性にもオススメ。2011/12/10
毒モナカジャンボ
0
小夜の血の繋がらない兄・瑛介の登場から想いを告げるまでが爆速で笑ってしまう。官能小説なのに彩継が瑠璃子と本番するシーンがあまりにも流しでやられているため、完全にここが落とし穴になるんだなぁ……という予感がすごい。完璧な情念の対象を自分だけのものにしたい彩継の動きはまぁ悍ましいのだが、大芸術家でありシモの道にも通じているという自負心が、彼の野望を挫く種を撒き続けることになる。かなり良い。2021/06/26