内容説明
香港在住もぐりのコンサルタント・工藤をある日、美しい女・麗子が訪ねる。「五億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」彼女の要求は、脱税の指南だった。四ヶ月後、麗子は消えた。五億ではなく五十億の金とともに。すぐに工藤は東京へ。麗子と五十億の金はどこへ?マネーを知り尽くした著者による驚天動地の金融情報小説。
著者等紹介
橘玲[タチバナアキラ]
1959年生まれ。早稲田大学卒業。会社役員。「海外投資を楽しむ会(AIC)」創設メンバーの一人。2002年、本作品『マネーロンダリング』で作家デビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
橘さんの「バカと無知」を読んでみたので少しほかの作品を読んでみようと思い初期のころの作品ということで読んでみました。今から20年以上も前に出版されたものですが、当時の金融状況がかなり細かく描かれています。日本で税金を取られないようにするために日本の小金持ちが様ざまな手段を取ろうとします。そこに暴力団や女性がからんだりします。このようなところは若干余分な気がします(黒木亮さんだとあまり書きません)。ただ解説は当時大阪国税局の総務課長であった国民民主党の玉木代表が書かれています。2024/01/20
小説を最初に書いた人にありがとう
92
読了まで非常に苦戦した作品。前半は税金・金融などの難しい経済用語と専門的な文章が続く。何度も心が折れそうになるもミステリアスな美女「麗子」の登場で少し息継ぎ。後半に入り裏社会の黒木が登場してスピード感とミステリー度が増し、そこからはかなり楽しめた。この本の言いたいことは金は怖い、人を狂わせる。と言うことと読み取った。脱税に無縁のサラリーマンである意味よかった。話の主な舞台が香港でちょうど読んでる時に香港旅行したことでより臨場感があった!あと、アイツがキーになるのはかなり前に見抜きました。2016/12/01
外枠発走
43
香港と日本が舞台の金融ミステリー。著者の持つ金融知識をフル活用し、刃物や銃をなるべく使わない物語設定が良かった。人の命をたやすく奪うカネのチカラは恐ろしい。20年ぐらい前の話で、今はかなり規制が厳しくなっている。当時、これを読んだ人は、どこかマネが出来ないか、少なからず検討したと思う。不正手段の記述は、何となく読み飛ばしたが、鮮やかさは伝わってきた。作中の資産運用のコツとして、「資産運用しないこと、税金を払わないこと」がとても印象的で、著者のアドバイスとして受けとった。2023/11/15
Makoto Nakagawa
37
大欲は無欲に似たり2016/11/05
ひと
35
マネーロンダリング規制はこの本が書かれた頃と比べてもどんどん厳しくなってきてしまっているけど、どこかには必ず抜け穴というか、制度上の歪みがあるもの。それを上手く使えれば、より速く金持ちになれる一方、無頓着だとごっそり税金で持っていかれてしまいます。壮大なマネーゲームへの憧れはないですが、お金の知識は増やして、お金に振り回されない生活を送りたいですね。橘さんらしい知識の豊富さとニヒリズムで、お金のダイナミズムとお金のもたらす幸福とは何かを考えさせてくれた本でした。2016/09/24