内容説明
LA郊外、さびれた海岸沿いの裏道り、潮の香りが漂い波の音が聞こえる小さな借家。工藤俊作は誰にも知られずに日本を去り、そこで堕ちるように生きていた。そんな彼のもとに一人の日系人女性がやって来る。「わたしを一週間守ってくれませんか」と女は言った。それが酷薄な事件の始まりだった…。待望の新シリーズ第一巻。
著者等紹介
小鷹信光[コダカノブミツ]
1936年岐阜県生まれ。早稲田大学英文科卒業。日本推理作家協会およびアメリカ探偵作家協会会員
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感想・レビュー
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やすお
3
シリーズを通して格好いい男の生きざまを描いたミステリ。いや、この作品はミステリというより冒険小説と捉えた方がいいかもしれない。カーチェイスあり銃撃あり、人もたくさん死ぬ。緊張感のなかで動き回る工藤俊作(S・クドー)。彼も少し年齢を重ね、大人の格好よさが熟成した。現在でこのような作品にもっと日が当たるといいなと思う。テレビドラマではもはや許されない表現が多々ありそうだけど。男が弱くなったこんな時代だからこそ、ハードボイルドは新鮮なものと受け入れられるような気がするのだが、どうでしょうかね。2016/12/12
ハル
3
つまらなくはない!でもなんていうか「ハードボイルド」な雰囲気を楽しむ作品というか…全体的にはよくわからない作品でした。徹頭徹尾ハードボイルドで、本編は二の次というか。ドラマっぽいというか。 ハードボイルドものってあんまり楽しめないことが多いので、たぶん私に合わないだけなんだろう… もうちょっと有名どころのハードボイルドも読んでみたいけどなぁ。2013/12/19
ぼん
0
探偵物語続編その3。諸々の理由から日本を飛び出しLA郊外のさびれた街で無為の時を過ごす探偵・工藤俊作の物語。謎解き等のミステリを期待して読むより和製ハードボイルドの傑作に浸る「気分」で読むのがおススメ。淡々と進むストーリーの中に織り込まれる登場人物達の思惑と葛藤がクライマックスに向けて一直線に語られ最後まで一気に読めます。感情描写が深く単純な善悪で語れない読後のアツイ想いが胸を抉ります。男を通す「信義」が全体を串刺しており、牙を失った我々日本男児には羨望しつつも苦笑いしか出ない心に痛い一冊でした★★★☆☆2012/10/11