内容説明
第二次世界大戦末期、50万人もの日本軍兵士の命が消えたフィリピンの飢餓戦場に、大量の財宝が持ち込まれたという。いったい何が目的だったのか。50年以上たった現在も財宝を探そうとする人々は数知れず、その中には日本人トレジャーハンターの姿さえある。経済的貧困に苦しむ熱帯雨林の島に広がる“黄金伝説”の正体が今、ついに解き明かされる。
目次
第1章 アパリの白金塊
第2章 サムライ
第3章 プンカンの穴
第4章 最後の酒
第5章 ミンダナオの光
第6章 リーバスの大砲
第7章 ホーロガン
第8章 アンドントックの雨
第9章 アオヤマの地図
第10章 ゴールデン・ブッダ
第11章 マルフク追跡
第12章 有山街道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うたまる
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「食い物もない山の中に、なぜ財宝とか金塊があったというんや。そんなこと信じていること自体、馬鹿げているんですわ」……フィリピンに残る山下財宝の伝説を追ったルポ。往年の水曜スペシャルのつもりで気安く手に取った本だったが、強い引力にずるずると呑み込まれてしまった。トレジャーハンターの狂騒、慰霊巡拝団の旅、第14方面軍の敗走という三軸を編み込みながら、黄金伝説の虚実に迫る圧巻の構成。著者が辿り着いた解答は現地調査を踏まえた至極妥当な結論であったが、その証明に用いられた日本軍の愚行の数々に、快よりも痛みを覚えた。2020/02/05