内容説明
京都東町奉行所同心組頭の家に長男として生まれながら訳あって京の公事宿(訴訟人専用旅篭)「鯉屋」に居候する田村菊太郎。武士を捨てながらも、同心の弟を助け事件を解決していく。母と二人で貧しく暮らす幼女がかどかわされた。菊太郎が突き止めた犯人の意外な目的とは?「木戸の椿」ほか、全七編を収録した連作時代小説シリーズ第二作。
感想・レビュー
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onasu
25
作者はおそらく、「男の理想像」をこの菊太郎に託して描き上げたのではないか。解説子に、全く同感です。 公事宿鯉屋の居候田村菊太郎。居候なんで、きっちり働く訳ではないのだが、ここぞという時に明察と行動でもって、案件を解決に導く。出自もあるから、奉行所も一目置く、てことで公事宿としては、もう居ていただく、てな感じ。それでも時に、ただ飯、ただ酒、なんて悪口もご愛嬌。 各編の結末はサラっとしているが、中身では京の街を描き、文物にも触れていく。こんな奴はいねえ、と思いながらも、シリーズものの術中にはまっている。2015/04/22
min2
15
シリーズ2作目。菊太郎の推理が光る!! 悲しい結末の話もあったけれど、彼の推理で助かった人も多い。どんどん彼の魅力にハマる…。2015/06/23
星落秋風五丈原
9
弁護士事務所と旅館を兼ねた公事宿「鯉屋」の居候田村菊太郎が主人公のシリーズ。 次々と舞い込む難事件を、ある時は腕にものをいわせ、ある時は人情の機微を捕えて解決していく。お袖の娘、お千代が行方不明に。彼女はお袖が縫ってくれたでんち(袖なし半纏)を着ていたという。布地を見た菊太郎は、それが数百両の価値がある吉野間道と呼ばれ、茶入れの仕覆に使われるものだと気付く。2002/10/18
kazu@十五夜読書会
7
ハードカバー読了済み(文庫もダブル登録で、共読本に反映させる)公事宿事件書留帳〈2〉決してハッピーエンドとならないけど、事件を推理し解決。ますます、はまりそう。① 闇の掟 ② 木戸の椿 ③ 拷問蔵 ④ 奈落のみず ⑤ 背中の髑髏 ⑥ ひとでなし ⑦ にたり地蔵 ⑧ 恵比寿町火事 ⑨悪い棺 ⑩ 釈迦の女 ⑪ 無頼の絵師 ⑫ 比丘尼茶碗 ⑬ 雨女 ⑭ 世間の辻 ⑮ 女衒の供養 ⑯ 千本雨傘 ⑰ 遠い椿 ⑱ 奇妙な賽銭 ⑲ 血は欲の色 2012/11/03
玲@灯れ松明の火
6
公事宿第二弾。澤田さんの書き方の特徴なんでしょうか?中盤まで事件が盛り上がるんですが、最後があっけない。サクッと結末のみみたいな短編が多い。え?そんなあっさり?と気が抜ける気がする。個人的には「お婆とまご」が印象に残りました。2013/03/24
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