内容説明
私もまた灯火なき暗夜に生き悩む人間の一人である。私たちがこの暗さに耐えて生きるためには、あたりを照らす灯火を探さなければならない。それを「希望」と呼ぶか、「人生の目的」と呼ぶか、または「信念」と呼ぶか、それは各人の自由である。雨にも負け、風にも負け、それでもなおかつ生きつづけるための心のなかの何かである(本文より)。人は何のために生きるのか。すべての人びとの心にわだかまる問いを、わかりやすく語る、人生再発見の書。
目次
なぜいま人生の目的か
肉親について
金銭について
信仰について
わが人生の絆(こころの絆;学校の絆;青春の絆;人間の絆)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
109
ここまで赤裸々に描かれていることに驚きと同時に清々さを感じました。おそらく、ここまで赤裸々にしてはじめて「人生の目的とは?」という問いに答えが出せるのではと思いました。 そして解説は「夜を賭けて」の梁石日が“解説はこんな風に書くんだぞ”と言わんばかりにこれまた素晴らしいです。 2019/08/11
wata
36
叔父からの借り本。信じて正しいと思っていたことが戦争に負けたことで一変し人生を狂わした人がどれほどいたことか。目的は年齢や立場や環境で変わりそうだと思うけど死ぬ時自分の生きた目的が見えるかなぁ?2022/10/01
団塊シニア
29
人生に目的、ないかもしれない、目的を見つけるのが人生の目的である、だから生き続けなければならないという筆者の言葉は説得力がある。2013/02/03
ネロ
12
著者の幼少期の話、自分にとっては祖父母世代の話なのだが、それが面白く興味深く読めた。タイトルに惹かれ手にした本だが、目標なんかは決めたり目指したりはするものだけど、人生の目的は?ときかれたらなかなか言葉は出ないもので。著者は「自分の人生の目的を見つけるのが、人生の目的である」と言う。人生の目的の第一歩は生きること。運命と宿命を知り、それを受容してなお生きること、と。お金にも触れられていて、「人間より偉いなんて思ってるんじゃあるまいな。こっちがお前を使うんだ、そっちに使われるんじゃない」。なんだかハッとした2020/09/29
Hiroki Hatano
8
帰省したときに暇だったので読んでみた。人生は苦しみであるとする仏教の思想を前提に置いたうえで、それを受け入れつつ生きていく尊さを五木さん自身の経験を重ねて滔々と綴っている。ポジティブな書ではないが、じんわり心に沁みてくる本でした。2015/01/02