出版社内容情報
弟・襾鈴の死の謎を追い、兄・珂允は地図にない異郷の村に潜入した。襲う鴉の大群。連続する殺人事件。メルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。97年、NO.1ミステリに輝く神話的最高傑作!
内容説明
弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点衝く大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉。そしてメルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。一九九七年のNo.1ミステリに輝く神話的最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
126
神の考え方とかムラ社会のシステムへの洞察が面白かった。ミステリ要素についてはある程度読んでる間に察しがつくが、結末はその斜め上をいっていたので満足。ただ「鴉」の扱いについては最後まで謎。機能的な小道具というより、作者が忍ばせた広い意味での象徴と取った方が奥行きが感じられて良い、と思った。2017/01/14
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
109
機内にて読了。年末年始に三冊は読もうと思っていたのにこの一冊だけでかなりの時間を取られてしまった。閉鎖され、世界と拒絶された村。その村に訪れ、帰って来た弟(アベル)が何者かに殺される。真相を知るべく兄のカインは、その村を訪れるのだが…。全てを統べる大鏡という神的絶対存在に、変わった風習、西と東の土地争い、始まる連続殺人。登場人物多いし、わけわからんけど面白かった。カインとアベルの時点で犯人はね。大体の答えは当たってた。ただハテナだった最大のトリックは、眼科畑にいるなら気付かないとダメだよな〜とも思った。2017/01/02
chiru
83
『メルカトルかく語りき』に続き2作目。 地図にない村から去り、その後殺された弟の謎を追う兄の視点がメイン。 後半になっても、複数の伏線に全く気付くことができない見事なミスリードとトリックは衝撃的すぎました。(わたしの読解力がないからかも) それと『かく語りき』のメルカトルさんと同一人物に見えないくらい普通の名探偵さんというギャップにも驚きです。 ★4.52018/01/30
ダイ@2019.11.2~一時休止
82
メルカトル鮎その3。色がポイント。トリックは見事に騙された。2013/10/05
sk4
80
主人公の名前が珂允(カイン)で弟が襾鈴(アベル)。カインとアベルって何だっけ?と調べたら、旧約聖書に描かれた兄弟のこと。 そんな不幸な名前をつける親っている?と思ったけど、そういうストーリーなんだねぇ。 それにしても、これだけ壮大で、しかも読みやすく、登場人物も魅力的で、ミステリーも奥深く、それをも粉砕するメルカトル鮎。こんなに面白いというのに人気が無い。 なにしろ私の住む沖縄の本屋には麻耶雄嵩先生の作品なんてほぼ置いてない。かろうじて『隻眼の少女』が唯一置いてあるぐらい。 おっと、愚痴になってしまった。2013/06/06