出版社内容情報
川岸で見つかった女性の遺体。犯人はーー私の息子だ。
殺人犯の母が残した手記、それは最愛の息子への決死の応援演説。
札幌、豊平川の川岸で見つかった女性の遺体。 〝寄り添い型?の刑事、天道環奈と、 その上司であり〝人の不幸が見たい?緑川ミキは事件を追う。 黒い粘着テープで両目を塞がれた物言わぬ彼女に、 あの夜、一体何があったのか。 飲み会帰りかもしれない、不倫をしていたのかもしれない、 夫もパート仲間も、本当の彼女のことを何もしらない。しかし─ 。 人には誰にも〝言い分?がある。被害者にも─ 犯人にも。
【目次】
内容説明
犯人は、私の息子だ。殺人犯の母が綴る手記。それは最愛の息子への決死の応援演説。「息子への愛は、私の背骨を貫いている」目に粘着テープを貼られた一人の女性の遺体。もの言えぬ彼女は、あの夜何をしていたのか。飲み会の帰りだったのかもしれない、不倫をしていたのかもしれない。夫もパート仲間も、本当の彼女のことを何も知らない。しかし―彼女にも“言い分”があった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
143
この本の厚さに前半分で抱いた違和感。これで事件解決なの?な訳ないよね。まさきとしかだもの(褒めてます)似たような二つの家族に翻弄される後半は、作者にいいように弄ばれて暗転する真相にあんぐりしてしまう。環奈の心の声に「それだけで?」と、私も応えてしまう。あぁ、掴め難い緑川警部補の言葉が一つずつ回収されて、壊れた親子関係に暗澹たる気持ちになった。エピローグの不快さも加わり、まんまとまさきとしかに取り込まれた読後感。これが嫌いじゃないから厄介だ(褒めてます)また会いたい緑川・環奈コンビだ。2025/10/19
ちょろこ
114
捻りと読み応えの一冊。札幌の川岸で女性の遺体が発見された事件を軸に母子の関係を浮き彫りにした警察ミステリ。"犯人は私の息子だ"と綴られた母親の手記を交え、ぐっと惹き込まれる見事な構成。読み手の心には母の息子への愛が終始植え付けられ、母の愛は海より深し…を思わずにはいられない。あの日、あの時を細かく拾い集めながら徐々に迫りゆく事件の真相はあっと言わせる反転と更なる捻り、まさかのあの人という驚きもあり、ミステリとしての読み応えも充分。世の中、母の数だけ愛はあっていいけれど、一方通行の愛、狂気は恐怖でしかない。2025/11/15
itica
83
川岸で女性の遺体が見つかったことから始まる。クセの強い緑川刑事と刑事なりたての環奈コンビが事件を追う。二人の刑事に好感を持てなかったのが少々残念。怪しい人物が幾人も登場する割には全く犯人の目星が付かず、途中途中で差し込まれる手記のいびつな愛情に、混乱と不気味さを覚える読書だった。結局、犯人はあの人だったかーと目から鱗。分かってみれば複雑なようで単純な事件だったのかな。いや、やっぱり複雑だよね、人の心は。 2025/10/04
ごみごみ
60
400ページ超えのボリュームだが難なく2日で読了。休日だったらきっと一気読み出来たはず。不可解な殺人事件と過去の未解決事件の繋がりを追うのは、アクが強く掴みどころのない緑川と、寄り添い型の環奈。時折挿入される母親の告白文は狂気に満ちていて理解不能。事件の真相に近づいたと思いきや、複雑に絡み合う悪意に翻弄され、まさかの展開に唸らされる!「我々の想像が及びもつかない人間がいる」序盤でちゃんと緑川が言ってたね。たった数行のエピローグまで心を抉ってくるイヤミス。2025/10/30
花ママ
58
まさきとしかさんの作品ずっと読みたいと思っていました。400ページ超えの太作でした。北海道豊平川で見つかった女性の遺体。この事件をきっかけに、新米刑事の天道環奈と〈人の不幸が見たい〉から刑事になったと言う緑川が、事件の真相に迫っていく。事件の複雑さもさることながら、最初の方から登場する母親の手記が怖かった。片方の子どもしか愛せない母親など、親子関係の歪みがもたらすもののな大きさが際立っていた。犯人と思われる人物も二転三転、最後まで気を緩めることができない作品でした。2025/11/10




