出版社内容情報
川岸で見つかった女性の遺体。犯人はーー私の息子だ。
殺人犯の母が残した手記、それは最愛の息子への決死の応援演説。
札幌、豊平川の川岸で見つかった女性の遺体。 〝寄り添い型?の刑事、天道環奈と、 その上司であり〝人の不幸が見たい?緑川ミキは事件を追う。 黒い粘着テープで両目を塞がれた物言わぬ彼女に、 あの夜、一体何があったのか。 飲み会帰りかもしれない、不倫をしていたのかもしれない、 夫もパート仲間も、本当の彼女のことを何もしらない。しかし─ 。 人には誰にも〝言い分?がある。被害者にも─ 犯人にも。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
25
真相が分かる最後の最後までザワザワと心は落ち着かなかった。登場する母、息子、娘、離れた距離からの父親と、どの人物も身勝手極まりない。特に著者が描く母親はえげつない。どうしようもない。救いようがない。息子はたまったもんじゃない。〈ある母親の手記〉が話しの合間に書かれているが、これがまた上手くできていて、まんまとやられる。違う角度から見たら人から思いもよらない恨みを買ってしまっている恐ろしさも。スッキリとした読後は味わえないが、充分に読み応えのある作品。2025/09/26
shio
22
時を経て起こった3件の殺人事件。共通点はあるものの、犯人像は全く掴めない。一方で、目立たない家庭の母親の、思いも寄らぬ「主張」が語られる。ねじれにねじれた愛情を描くのが巧みなのは、まさきとしかさんならでは!耳を傾ければ、あちらこちらから、行き場のない思いを語る「声」が聞こえる気がしました。その声を受け取る方の屈辱と苦しみには思いも至らず、「寄り添い型」の刑事・天道環奈がどんなに寄り添っても、理解出来ない心理がある。人間の心の闇と、それでも犯人を追い続ける警察の正義感の熱さ。読み応えのある作品でした!!2025/08/13
ユウハル
9
最後まで読んで「怖ぁ」と思わず呟いた。 誰しもそれぞれ言い分はあるのだろうが、今作に出てくる人で寄り添える人はいなかった。 読んでいて「きっと犯人の言い分はこうなんだろうな」など考えるのだが、今作は最後までまったく理解できない。わからないというのはとても怖いことだ。だからこそ自分たちで理解できる安っぽい理由に押し込めたいのかもしれない。だからこそなのか先が気になって読むのが止まらない! 2025/09/25
yasuyuki suzuki
8
過去3件の殺人事件迷路にはまり込んだ展開に「母の手記」なる項目に惑わされてしまった。犯人が二転三転するまで、そしてラストの真犯人は意外な人物にたどり着き、今までの伏線は何だっだろうと考えずにはいられませんでした。いまだかつてない新感覚のミステリーまさきとしかさんの冒険と見ました。あなたもぜひ読んでいまだにかつてない新感覚のミステリーを読んで見て下さい。2025/08/27