出版社内容情報
最高軍事機密「戦艦大和」、建造始まる!
希望の光か、時代の徒花か――。第二次世界大戦目前、大艦巨砲主義から航空主兵主義へと戦略思想が移ろうなか、米英海軍に対抗するため計画された世界最大最強の戦艦建造。
絶対不可能と目され、54名の殉職者を生むこととなった大プロジェクトに挑んだ青年たちは何を夢見ていたのか?
戦後80年を機に、歴史小説の第一人者が万感の想いを込めて描く畢生の大作!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
123
生涯を捧げて悔いないものに出会った男は、他に道が見えなくなる。海軍に入り戦艦大和の建造担当となった技術将校の占部健にとって、大和はまさに人生の伴侶だった。同期の仲間が事故死や仕事に疑問を抱いて脱落しても、結婚を考えた女性が早逝しても心折れず邁進したのは、巨大な鋼鉄の城塞たる大和に魅せられてしまっていたからだ。だからこそ大和が無謀な特攻作戦に出撃する際、技術者の分を超えて共に死すと決めた占部を上官も止められなかった。「大和は私のすべてです」とは彼にとって恋の告白であり、愛した女と死ねる喜びに満ちていたのだ。2025/08/19
のぶ
63
太平洋戦争の前、日本が軍事路線を拡大していく頃に、建造された戦艦大和とそれに関わった人たちの物語。巨大戦艦は一つのロマンだろうし、そんなふうに描かれていたけれど、戦争に関わるこんな物は、所詮無用の長物だと思う。登場人物にも大した魅力を感じられなかった。2025/08/03
yamatoshiuruhashi
47
初読の著者。戦艦大和建造に携わることになる5人の同期の技術士官、その中でも殆どが東京帝大卒で占められるその職に京都程大卒でついた男を主人公に据えた物語。「戦艦大和誕生」と「鳶色の襟章」を元ネタに小説化されたような感覚が読中、読後続いている。490頁に昇る本を久々の一気読みだったが、作者としても未消化の部分がだいぶ残ったのではないだろうか。視点、筋運びそのものは面白く、艦を造り上げていくシステム、その苦労などをかなり織り込んで力作であるとは思うが、それを膨らませる挿話が今ひとつ物足りなかった。2025/08/02
yutan2278
39
第二次世界大戦目前、大艦巨砲主義から航空主兵主義へと戦略思想が移ろうなか、米英海軍に対抗するため計画された世界最大最強の戦艦建造。 絶対不可能と目され、54名の殉職者を生むこととなった大プロジェクトに、若き造船士官たちは何を夢見ていたのか? 大和が撃沈してから80年。戦闘のことについては知ってはいたものの、建造についてはあまり知らなかったので、とても興味深く読みました。とにかくすごい艦だったんだなぁと。毎日を普通に過ごせる時代に生きていることの有難さを噛みしめたいと思います。2025/07/29
PEN-F
38
戦艦大和の開発から設計、製造、そして運用に至るまでが細やかに描かれています。当時、あれほどの巨艦を造るには一体どれほどの知恵と知識と技術が必要だったのでしょう。一番驚いたのは主砲の砲身の製造を切削で行っていたこと。ずっと鋳造で造られていたものだと思っていました。まさかあの巨大な砲身の穴をボーリング切削していたことにホントびっくりです!一体どんだけデカい加工機とどんだけデカいドリルを使ったんだろう?やっぱ造船技術ってスゴいです!今では日本の造船に関しては韓国と中国にシェアを奪われている形だが巻き返しに期待!2025/08/25
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- 和書
- 蒼天見ゆ 角川文庫