出版社内容情報
なんか、怖い話ない?
異界が覗き、怪異の似合う古い街。
男たちが喫茶店に集ってすること、とは――。
男子会で、ホラーをダベる。京都、横浜、東京、神戸、大阪、再びの京都――。なぜ多忙な四人の男たち(外科医、検事、作曲家、音楽プロデューサー)は、わざわざ遠出して喫茶店を何軒もハシゴしながら、怪談を披露し合うのか――。そして、いつも茫洋としているが、気づくとなにか肝心なことをぼそっと呟く塚崎多聞とは誰なのか?
ホラー小説家としてデビュー(『六番目の小夜子』)した著者による、深煎りネルドリップ、男子ホラーはいかが? 奇妙な味がじわじわ恐い(ほぼ実話)全6編。
内容説明
「ようこそ、珈琲怪談へ」こう宣言して始まる、男だけの酔狂な世界。京都、横浜、神保町、神戸、大阪、再びの京都―。なぜ働き盛りの4人(外科医、検事、作曲家、音楽プロデューサー)は、遠出までして喫茶店を何軒もハシゴしながら、持ち寄った怪談を披露し合うのか―。17年ぶりの塚崎多聞シリーズ。連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
205
男性4人が喫茶店を巡りながら怪談を披露し合う。京都、横浜、神田、神戸、大阪の実際のお店が登場します。六曜社、御影ダンケ、マズラなど僕のお気に入り店も出てきます。各店の中にあるそれぞれの異世界という場の力を借りて招聘する怪談話には、独特の怖さと面白さがあって惹き込まれます。2025/05/31
starbro
204
恩田 陸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。塚崎多聞シリーズは初読です。怪談は、飲み食いせず緊迫の中でオドロオドロしく語るもんだと思っていましたが、珈琲や紅茶、抹茶を飲みながら語るのが新鮮でした。雰囲気はありますが、怖くありません。 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344044210/2025/05/26
パトラッシュ
175
怪談というより「奇妙な味」の奇談集か。多忙なはずの中年男4人が無理やり時間をひねり出して全国各地の喫茶店で男子会を楽しむうちに、ピリリと山椒のきいたブラックユーモアに満ちた結末に導かれる。会合場所は人や建物の霊が宿っているような昭和の生き残りばかりだが、怖さや謎解きの要素はあまりなくピンと来ない結末を迎える作品もある。短篇小説を味わうためなら満足する出来栄え揃いだが、理瀬シリーズに見られる息詰まる緊迫感や狂気に満ちたキャラもおらず、この作者らしい意想外なドラマやストーリーの爆発を期待すると物足りないかも。2025/05/16
hiace9000
146
日常の隣にあって、心地良くつかの間の非現実に身を置ける空間が喫茶店。「ようこそ珈琲怪談へ」で幕開け誘う異界への階段。平日の昼間から集まり、喫茶店をはしごしつつ怪談話に興じる見た目もバラバラな4人の壮年男性。若い頃とは比べようもなく記憶力も鈍り、記憶そのものの攪拌や錯誤や改竄もある―、そんな世代か。そんな薄ぼんやりとした曖昧さが懐古的でクセのある個人喫茶店の空気感や仄暗い雰囲気と絶妙に馴染む。話中の怪談のいくつかに何故かデジャビュを感じ、多聞の思索を他人事に思えない感覚に陥るのは、決して私だけではないはず。2025/05/15
のぶ
104
前にもあったシリーズだとは知らずに読んだ。珈琲を飲みながら怪談を語り合う会は楽しそうだなぁと思う。何歳になっても他愛のない話を友人とする空間は、誰もが好きなのだなと思った。はたから見たら無駄な時間に見えても、それを大切な時間と捉えるのは自分次第なので、これからも無駄で大切な時間を過ごしていきたい。作中の怪談話はさほど怖いと思わなかったけれど、あとがきのほぼ実話というところには怖さがあった。大きなものを求めるとはぐらかされるけれど、軽く読むには楽しい本でしょう。2025/05/03
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- 和書
- 冗談 岩波文庫