出版社内容情報
国のため、小さきもの、弱きものこそ生き延びよ。鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争。わずか700の兵で4倍の幕府軍を撃破した片眼片足の不自由な「類稀なる軍略家」伊地知正治。ぼっけもんと呼ばれる激烈な性格で兵を駒として操り薩摩人として勝ち続けてきた伊地知が新時代に目にしたのは、荒廃した土地で貧困に喘ぐ民の姿。大久保利通、西郷隆盛と並び称される勤王の志士の胸に、最後に去来するものとは。
内容説明
おいは、古か人間でごわす。自由という新しか言葉、何か大事なものを誤魔化しておらんか。戊辰戦争、鳥羽伏見の戦い。わずか5000の兵で3倍の勢力の幕府軍を撃破した“類稀なる軍略家”伊地知正治。薩摩人の誇りを胸に常勝を続けた伊地知が新時代に目にしたのは、荒廃した土地で貧困に喘ぐ民の姿…。大久保利通、西郷隆盛と並び称される勤王の志士の胸に、最後に去来するものとは。
著者等紹介
谷津矢車[ヤツヤグルマ]
1986年東京都生まれ。駒澤大学文学部歴史学科考古学専攻卒。2012年「蒲生の記」で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。13年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』でデビュー。2作目の『蔦屋』が、「この時代小説がすごい!2015年版」にて第7位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
138
人を育てる難しさや導くとは・・を感じた。作品の趣旨とはズレるかもしれないが、政を為すは人にあり。その人とは・・人は一人では生きて行けない。時代の過渡期、見極める事の難しさは後世の者が何とでも言う。ドラマ等で存在は知ってはいたが、こうして谷津矢車が光を当てる。これもまた惹きつけられると言うか、面白い人生なのだなぁ。2023/07/18
サケ太
15
破格の面白さ。名前だけは知っていた伊地知正治を主人公に据えた作品。現代(明治)と幕末を交互に描き、なぜ現代に至ったのかを活写していく。時代の急激な変化。求められるべき役割。かつての同志、弟子たちの成長。伊地知正治の目指した、求めたもの。種をまき続けるその姿に感銘を受けた。2024/09/22
Kaz
14
明治維新といえば西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀、木戸孝允、大村益次郎、板垣退助などが思い浮かぶ。本書の主人公、伊地知正治については、名前は知っているものの人となりについては本書で初めて知った。捻くれてはいるが実直な人柄には好感が持てた。ひとかどの人物は何かしら一癖を持っている。2025/04/26
spike
7
戊辰戦争で薩摩の軍師として活躍した伊地知正治。主にその後のことを描く。自分の想いと組織の意思の折り合いがつかず第一線を退くくだり、またその後偏屈で自分を曲げないながらもひたむきに「種を蒔く」ことに想いを馳せる姿は、60歳間近の自分だからこそかとても沁みるものがある。この作者の時代小説は時々手に取るが、だいたい「当たり」(読む時の自分にちょうどフィットする)な気がする。2023/07/15
K
6
軍師ですら時代の先行きが読めないほど激動の時代だった明治維新からの明治時代。現代の変化のスピードも凄いが、明らかにかつ大きな変化が起きたこの時代に取り残された人を救おうとしていた人がいたことも確か。日々の勉強の大切さに気付いた。2023/10/02
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