内容説明
北極と東京を行ったり来たりする探検家が、客観的に見て圧倒的にかわいい娘・ペネロペを観察し、どこまでも深く考察していく―。探検家と父親の間で揺れる男の深遠かつ滑稽、そして純真な“父親エッセイ”。
目次
私には異様にかわいい娘がいる
濁流・黒船・阿部正弘
ドキュメント出産 所詮オレたちにはウンコしか出産を想像する武器はない
別格
二重螺旋
二重螺旋余話
おちんちん
父の責任
生誕という探検
鼻くそあるいは女の情念
かっこいい父親をめざして
自我の芽生え
親たちが我が子を特別だと信じる理由
俺が極夜?
娘にかわいくなってもらいたい父親の心理
ペネロペ、山に登る
著者等紹介
角幡唯介[カクハタユウスケ]
1976年北海道生まれ。ノンフィクション作家、探検家。早稲田大学探検部OB。2010年『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で第8回開高健ノンフィクション賞、11年に同作で第42回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞、12年『雪男は向こうからやって来た』で第31回新田次郎文学賞、13年『アグルーカの行方129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で第35回講談社ノンフィクション賞、15年『探検家の日々本本』で第69回毎日出版文化賞書評賞、18年『極夜行』で第1回本屋大賞ノンフィクション本大賞、第45回大佛次郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
70
マッチョな探検家とは相反するデレデレーぶりを見せてくれる娘ペネロペへの愛の賛歌。自分の娘あおちゃんに、ペネロペ(ペネロペ・クルス)と愛称で呼んで、他人からキモイと思われることを知りながら、恥じらうこともなく書いてしまうところがまことにもって偉い。普通の人はこんなことは書かないし、書けない。〈わが子は特別〉〈お前が一番かわいい~〉と、親になったばかりの狂騒状態で躁が極まった親バカの文体が終止炸裂。読み手が恥ずかしくなるような変な本である。娘が成人したときにはどんな関係を築いているんだろう。他人の家のことだけ2020/02/10
hatayan
40
子どもを授かった角幡唯介氏が探検家の目線で妻の出産と子どもの成長を綴るエッセイ。「子どもの誕生は衰えゆく自分という苛酷な現実から目をそらすためのセーフティネット」という言い回しには納得。刺さったのは「…生きるとは何か、これらの問題に少しでも触れてもらいたいから子どもを山に連れて行く。そして、私がそれを教えられるとしたら登山を通じてしかない」。『空白の5マイル』で氏が「いい人生とは何か」を熱っぽく語る文章と重なりました。角幡氏の著作を読んできた人にはもちろん、育児に関心がある人にも広くお勧めできる一冊です。2019/12/24
おかむら
31
角幡さんの「超」親バカエッセイ。「異様にかわいい」娘(ペネロペクルス並み)が産まれてから4年目くらいまでの様々なかわいいエピソード。ものすごく親バカ。親バカすぎて危ない。後書きで少し我に帰ってる。もう遅い。あーオカシカッタ!2020/03/03
ばんだねいっぺい
30
これを読むと、どれだけのかわいさかとペネロペちゃんに会いたくなる。角旗さんの本でいちばん笑った本。極夜行のこんなユーモラスな裏側が聞けるとはありがたい。2022/12/28
泰然
30
父親になった探検ノンフィクション作家・角幡氏の洒脱でストレートな筆さばきと深い思索、娘への愛に溢れたエッセイで、著者の観察力とシンキングする力に敬服する。親と娘に介在するセクシャリティに関する文章があり、ここで評価が二分されるリスクを負っても親と子、男と女の本質のワンシーンを捉えようとする姿勢を評価したい。娘バカな父親エッセイとして読むのも良し、軽妙で深遠な人間論として読むも良しの一冊。我が国のデレデレしない父親論の空気のなか、トライ・エラーの探検家精神で娘と共に新世界への探検に挑む姿は決して軟弱でない。2020/05/17
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