出版社内容情報
恋愛小説の名手が描く、初の旅小説。友人の結婚を祝いに出かけたハワイで気づかされたこと、失恋を慰めてくれた香港の喧噪と担担麺、密かな思いを打ち明けると決めていた伊豆への旅、婚約破棄の姉との奇妙な里帰りなど、「旅」をテーマに、主人公たちの揺れ動く気持ちを絶妙に描いた連作短編集。
内容説明
北海道、大阪、伊豆、千葉、香港、ハワイ、ニュージーランド、ミャンマー。旅先の心もとなさと美味しいごはんが私の心を癒していく。恋愛小説の名手による、初の旅小説。
著者等紹介
加藤千恵[カトウチエ]
1983年北海道生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビューした後、2009年『ハニービターハニー』で小説家としてもデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
129
北海道出身作家カトチエさんの作品をサクッと読了。コロナ禍でなんだかんだで、まともに旅行などできない世の中が気がつけば2年が経っています。本作が刊行されたのは2019年と今から三年前。発刊当時から今の世の中がまさかこんな風になるとは思わないですよね。タイトルにもあるように「旅」をテーマにした短編集で舞台は北海道、大阪、伊豆、千葉、香港、ハワイ、ニュージーランド、そしてミャンマーとなかなかバラエティー豊かです。話も舞台同様様々で飽きるコトなくイッキに読み終えます。個人的にはやっぱり北海道の話が良かったかな。2022/02/27
馨
107
旅にまつわる短編集。加藤さんの表現で旅のお話を読むのもとてもいいなと思いました。主人公たちがいつもの加藤さんの作品のごとくやや性格が暗い女性ばかりですが、そんな彼女らが何らかの理由で国内、海外へと旅に出ることによって恋人との決別、同姓同士の友情、お父さんとの関係、片想いの相手等に踏ん切りをつけたり決心をしたり、それぞれにとっての大切な人や事柄を再確認して行く姿にやはり旅行って気分も変えるし前を向ける良いものだなと思いました。香港の話が1番好きです。担々麺がめちゃくちゃ美味しそうでした。2019/01/25
みかん🍊
101
ハワイ、千葉、香港、北海道、大阪、伊豆、NZ、ミャンマーと何故か旅にいるという8つの短編集、一編は短くさくっと読めた、女性同士の友情が描かれたのも多く、「見えないものを受け取って」姉妹で北海道へ行く「冬には冬の」亡き父の行きたかった国へ旅する「優しい国」が良かった。2020/09/14
ツン
94
1話目を読んで、もう涙が。。友達っていいな。たくさんの思い出があるのって素敵だなと思いました。 他の作品を読みながら、最近、ある論評に、「うっせえわ」のリスナーである若者とLGBTQはどちらも日本の人口の8%と書いてあったのも思い出しました。2021/03/21
野のこ
83
読みやすかったです。読み終わって、私も旅にいた時のことを思い出しました。旅をすることで絆が深まったり気持ちに一区切りつくとこもある。それに味だけじゃない、旅先で一緒に過ごした人と食べたってことが、美味しい思い出に残るってこともある。ゴルゴンゾーラのチーズタルトは食べてみたい。あとニュージーランドで仰向けに寝っ転がって星空観てみたいなぁ。 オリオン座が逆さまにになるの知らなかったです。装丁がマンガっぽくて可愛い。裏表紙の小さく描かれた本のタイトルに目を凝らして見たら…やっぱり! 2019/03/03