出版社内容情報
男はただ、生きる為に必死だった。就活、婚活、転活、妊活、終活・・・・・・。秀吉が天下人になるために行った10の活動とは?現代人と変わらぬ悩みも、悲しみも、楽しみも、人間秀吉の姿が今描かれる!!
内容説明
織田への就活、寧々との婚活、天下人への転活、朝活、妊活、終活…。乱世を駆け昇った秀吉の“活きた”仕事とは?天下人の一生を10の活動時期に分け、新たな切り口で描く、豊臣秀吉の出世道!!
著者等紹介
木下昌輝[キノシタマサキ]
1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。ハウスメーカーに勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞し、『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー。同作は直木賞候補となり、’15年高校生直木賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞を受賞。『人魚ノ肉』は山田風太郎賞、『天下一の軽口男』は吉川英治文学新人賞、『敵の名は、宮本武蔵』は山本周五郎賞、直木賞、山田風太郎賞の候補作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
179
木下昌輝は、新作中心に読んでいる作家です。『活』に拘った秀吉の物語、著者の創作も多いと思いますが、軽妙で快調に一気読みしました。『活』を前面に打ち出したせいか、著者の何時の毒(ポイズン)がなく、薄っぺらく感じました。著者は近い将来『直木賞』を受賞する作家だと思うので、期待を籠めて『喝』『喝』『喝』!!!2018/01/25
いつでも母さん
143
私が思っている秀吉像は、本能寺の変まではそう、こんな感じだった。活き活きと『猿』が動き回っていた。そうして天下人まで登り切っちゃったんだ。十章の内、七章までが戦国の世に生きる農民の出の男の出世物語。木下作家が秀吉を描くとこうなるのだなぁ。父から教えられた『活きた仕事』最後に息子・秀頼に教えるあたり心憎い。するとどうしたって、賢さを活かせなかったのは母・淀殿の所為になるよね・・いや、賢さ故に優しさが勝ったのか。それにしてもいろんな『活』があったのだなぁ。2017/12/10
nico🐬波待ち中
117
「同じ"生きる"なら、"活きる"でないと駄目なのじゃ」実父からの教え通り、たくさん考え他人に気配りして一生懸命働く藤吉郎。百姓から天下人に登りつめるまで、就活、婚活、昇活等10の「活」から豊臣秀吉の生きざまを描いた物語。強い信念をもつ藤吉郎も凄いけれど、その藤吉郎の良さを見極め導いた織田信長の存在は大きい。偉大な指導者、気のおけない友達、ライバル、賢い伴侶等、人との出逢いを活かせたことが後の「秀吉」を生み出したのだと思う。そして最期まで多大なる影響を及ぼした信長が一番の"活きた"道標だったのだと思う。2018/01/25
修一朗
117
秀吉の生涯で最もキラキラしているのは壮年期の岐阜城攻城から賤ケ岳の戦いまでだと思う。小一郎や義父の竹阿弥,浅野又右衛門ら仲間に囲まれて奔走した「信長旗下での出世篇」は生き生きしていて楽しい。朝廷工作についてあまり知らなかったので新鮮だった。妊活トラバナシ,胸糞悪いね。清正公お土産の虎肉話は知られているけど,でも晩年の醜悪秀吉たっぷり。ここらへんが木下さんの文章らしいところ。木下さんが描く歴史のメジャー秀吉は,何事も目標を立てて邁進する思い切り前向きな大阪の人が好きな方の秀吉サンなのでした。。2018/01/06
とん大西
109
【活】という言葉で切りとった天下人の人生。語り尽くされた観もある秀吉像ですが、終始一貫したコミカルさはなかなか新鮮でした。信長の草履を温めている頃や寧々と結婚する頃はコメディチックなキャラがマッチしてホームドラマのような朗らかな味わい。ただ、秀吉の尋常ではない人生にいつまでも陽気キャラは続かないでしょう。正直なとこ、本能寺あたりで野臭ただよう凄みを拡散しはじめてほしかったところではあります。本作、木下さん特有のシニカルさは控え目でしたね。2019/11/09