内容説明
虚弱体質で寝込みがちだった相場俊之。極貧の母子家庭に育った取海創。級友に除け者扱いされる8歳の2人を結びつけ、救ったのが将棋だった。生活苦から抜け出すために勝負に心血を注いでいく取海につられ、相場も棋力を驚異的に向上させて、同時期に奨励会に入会。そして12歳で迎えた三段リーグ、最終戦で2人は激突した。取海が辛勝して最年少プロになり、惜敗した相場は棋界から去った―。20年後、全7タイトルを保持する取海はトップ棋士として初めて将棋ソフトと対局する。将棋界の威信を懸けた一戦。対戦相手は、人工知能研究で世界から注目を浴びる、かつてのライバルだった。
著者等紹介
高嶋哲夫[タカシマテツオ]
1949年岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。79年、日本原子力学会技術賞受賞。94年、「メルトダウン」で第1回小説現代推理新人賞、99年、「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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utinopoti27
132
取海創と相場俊之。天才少年と呼ばれた2人はプロ棋士を目指しますが、人生をかけた対局で取海に負けた相場は、将棋から離れ数学にのめりこみます。20年後、2人は将棋ソフトの開発者とプロ棋士として、対局することに・・。因縁の対決、好きだなあ、こういうの。でも、期待して読み進めるのですが、何だかすっきりしません。肝心の対決を熱く描いてくれると思いきや、企業買収の話が入り込んでみたり、時系列が目まぐるしく転換したりと、さっぱり盛り上がらないうちに終わってしまったみたいな。プロットは良いだけに、もったいない作品でした。2018/03/04
Yunemo
61
何と表現したらいいのでしょう。あまりに一般人からかけ離れた天才二人。小学校時代に出会い、同じく卒業までに別離、別れの意味のしこりを残したままに。この濃密さが何年たっても、逢わずとも、違った立場ながらも、秘とした心の拠り所。こんな関係を成り立たせる筆者の意図。でもやっぱり、我々の感覚と違い過ぎます。これを背景として、将棋の世界、人工知能の世界、そして産業界、妙に絡まって経過する流れに流されるがままに読了です。いろんな意味で勝負には技量を超えた何かが。人工知能に任せず、生身の気持ち、技量での勝負、通じ合えて。2017/02/06
えんちゃん
55
将棋がきっかけで出会った天才少年二人。数学と将棋、別々の道を歩んで大人になり、電王戦で対決する物語。社長の息子と貧乏人の息子。AIと名人。元天才少年同士の対決はいかに。そそられるプロットの割に、台詞が全く頭に入らなかった。誰が何喋ってるか分からない。将棋か数学か友情か、もしかしたら企業買収か。はたして何の物語だったか。凡人には難しかった。2019/10/10
R
52
将棋コンピュータと名人との戦いを描いた小説でした。物語としては、漫画のようにドラマチックで面白いのだけども、将棋の世界が、実際にAIと戦い、そして現在の状況をといらぬ知識があると素直に楽しめない。名人の人物像が昭和の将棋指しのアイコンを固めたようなキャラクタで、ちょっと盛りすぎじゃないかと思ったりもしたのだけど、その対比でコンピュータを作るライバルとの関係が少年漫画風で面白い。いっそ将棋じゃなかったらもっと楽しめたのかもと感じたが、将棋だからこそ成立したとも思えるのが歯がゆい。2018/10/30
はるき
45
今注目の将棋がテーマ。将棋も人工知能も理解の範疇外ですが、何か好きです。将棋指せるようになりたいな。2017/07/21
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