内容説明
理系のオレが、なにゆえ文芸編集者!?クレーマーの作家、「熱意」大好き上司らを相手に、新人編集者の桐生はベストセラーを出せるのか―。作家、編集者、営業マン、書店、読者…。本を愛する人々の笑いと涙の物語。
著者等紹介
向井湘吾[ムカイショウゴ]
1989年神奈川県生まれ。東京大学卒業。日本数学オリンピック予選にてAランクを受賞し、本選に出場経験あり。『お任せ!数学屋さん』で第2回ポプラ社小説新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nyanco
80
ポプラ社小説新人賞「お任せ!数学屋さん」でデビューされた向井さん、「数学屋」さんはポプラ社ということもあり、ジュニア向けでしたが、本作は理系男子が文芸の編集者になったら…というお仕事小説。「勘」「熱意」を求める上司に「数字」でアピールする理系男子達。深夜残業でデータを取り、数値化し、「売れている本」「売れる本」を探る彼ら、そのデータが結果を出す件は面白いと思いました。ほんのりと恋心を寄せていた同僚との関係の描き方、もう一歩踏み込んで欲しかったなぁ。続→2015/05/03
夜長月🌙@読書会10周年
73
バリバリの理系一辺倒だった桐生くんが出版社の文芸部に配属になります。科学と文学がうまく融合するでしょうか。桐生くんは数学科出身で統計学的に絶対に売れる本を企画しようとします。統計的仮説検定を用いると人意を介さない真実が得られます。帰無仮説が棄却され統計学的有意差を持って売れるとされた本はおそらく売れるでしょう。数値の大小を比較するのではなく科学的に意味のある差か検証することが大切です。2024/02/08
kishikan
62
理系作家といえば、森博嗣さんや化学の喜多さんなど、最近いろんな作家さんが登場していますが、数学という方は初めてじゃないかしら。僕は文系だけど、数学や物理大好きという変わり者?なので、こういう話は大好き。ということで、この本の主人公は理学部数学科卒業後出版社に勤務し、初の移動で文芸編集部に異動になった桐生君の仕事と恋に悪戦苦闘する物語。もちろん、出版の裏話や統計学、素数など理系の話も盛り込まれ、興味深く読みました。もう少し数学の面白さを盛り込んでくれたらなぁと思う反面、また次に期待の作家さんが増え大満足!2015/04/03
tokotoko
49
「リケイ」には憧れるばかり。せめて小説だけでも近づいとこっ!!・・・と思い、図書館で選んできました。とっても可愛い編集ボーイの、お仕事奮闘記です。朝読んだ本に続き、またまた魅力的な・・・今度は「教授」!!・・・が、現れました。「『リケイ』じゃなくても大丈夫でしょう。」って、きっと穏やかに笑ってくれそうです。だからもうね、文系でも理系でも、人間だったら、いいかぁー!なんて勝手に大らかになれた、今日でした。2015/04/18
けんとまん1007
42
本、特に、文芸書が売れなくなった。ここに基本にある。そんな中で、編集者という役割がテーマ。思いと理論・裏付け。どちらも必要なのだろうと思う。実際は、どうなんでしょうとも思う。売れ筋、世の中の動向などを、どう掴むのか、あるいは、作るのか。みんな、もがいているんだよなあ~。ストーリーとして、サラサラと読める。こんな仲間がいると、助かる。2017/06/07