内容説明
警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件発生の一報が入った。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。麻里は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、マスコミの追及は避けられない。浮き足立つ捜査本部は、被疑者の身柄確保に奔走する。そんな中、捜査の最前線に立つ樋口に入った情報―公立中学や高校に送られた脅迫メールの発信源リストの中に、樋口の娘・照美の名前があったという。警察官の自宅に強制捜査が入れば、マスコミの餌食になることは確実で、処分も免れない。樋口は更なる窮地に立たされた―。組織と家庭の間で揺れ動く刑事は、その時何を思うのか。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年「怪物が街にやってくる」で第4回問題小説新人賞を受賞。東芝EMI勤務を経て、82年に専業作家となる。2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。08年『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞ならびに第61回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
169
警視庁強行犯係・樋口顕4作目 2014.04発行。字の大きさは…小。 世田谷署に捜査本部が出来た殺人事件は、殺されたキャバクラ譲の南田麻里が、ストーカーに、痴漢に遇い、そのうえ殺されたと思われました。 警視庁強行犯第3係・樋口顕係長は、世田谷署にストーカーの相談をしていた麻里が、殺されたことで、警察への非難が及ぶ事を心配しつつ、通常の地道な捜査でなくストーカー犯を探す事に集中して行きましたが…。 「廉恥(れんち)」とは、心が清らかで、恥を知る心が強いこと🌿🌿 続く①➁→2020/10/06
どんちん
113
久しぶりの樋口シリーズ。安定した展開で心地よく?読了w 一つの事件と一つの家庭内?事件の並立という設定としては、ありがちだが、そこは登場人物の人柄でありがち感を感じさせないものであった。親娘の対立シーン、果たして自分は親としての感情を押さえ、一人の人間として会話ができるか、思わずうなってしまった、さすが樋口だなぁと。自分では、できないな。そんな樋口にまさに、(作者からの)プレゼント!ラストの家族での買い物シーン、普通なら、買い物途中で事件発生の電話がなりそうだがw無事家族水入らずの時間を過ごせたようで!2016/06/22
ノンケ女医長
100
警察は男性社会。登場する女性たちに、多くの警察官が影響を受ける。女性だからこそ生まれた事件。女性だからこそ、わずかな歪みに気が付いた。解決に導くこともできた。事件捜査は、すれ違いと、虚しさを埋めていく作業だと感じた。今作に出てくる女性キャリアは、警察庁刑事局から突然来た刑事指導官。170センチの長身で、表情も体型も引き締まっている。最後まで主張は控えめで、気遣いが溢れている。でも報道社の記者を冷静に論破するやりとりには鳥肌が立った。「警察庁は黙っていません」の裏にあるものを想像し、空恐ろしくなった。2023/09/19
タックン
89
簡単に読めちゃうけど警察物としては内容が薄いなあ。樋口さんを始め男性刑事はみんな人がいいけど、こんな単純な事件の筋を見誤って大丈夫かなあ?って思った。唯一女性キャリヤだけがしっかりしてた(笑)・・・・・この子がいなかったら事件は解決してたのかな?今野さんの作品はどんどん内容がなくなってきてるなあ・・・・2015/03/20
えむ
78
ストーカー殺人と疑われる事件が発生し、警察庁刑事局から女性の小泉刑事指導官が捜査のアドバイスのため捜査本部に派遣されてきた。樋口顕シリーズ第4巻。今回は、樋口は45歳、娘照美は大学3年生、前作から4年経過していることになっている。時代は正に現代、スマホが出てくる。今野敏氏の作品は楽しんで読む、残虐さはいらない、安心して読めるところがいい。樋口シリーズの中では最高の出来上がりだと思う。上司からも「そろそろ管理官になってもらいたい」という言葉が出るということは、次回作はもしかして・・・。2014-59。2052014/07/09