内容説明
仲良し四人家族の中に、ある日いきなり「花嫁」がやってきた。今までそれぞれがひた隠しにしてきた過去が掘り返されていく…。情熱と契約で結ばれた家族の果て。
著者等紹介
青山七恵[アオヤマナナエ]
1983年埼玉県生まれ。2005年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。07年に「ひとり日和」で芥川賞受賞。09年に「かけら」で川端賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
62
ふわふわあるいははんなりと、すべすべとひらひらと。その女を包む真っ白なもの。まるで苺大福のおもちの様な、ウエディングドレス。あるいは白無垢。その皮を剥いたら中にはどんな真っ黒くてどっしりとしたあんこが隠れているのだろう。仲の良い家族が内側にそれぞれ囲っていたどろどろペタペタした何かが、花嫁の登場でその真っ白なおもちを奪われた。家族の秘密。家族になれなかった人の持っていた秘密。それぞれ抱えた秘密がある様に、今は幸福に笑う真っ白な包みの花嫁も、きっと中にあんこがある。その奥にある苺は、いったいどんな味だろう。2012/06/20
なゆ
42
大好きな兄さんが花嫁を連れてくる…仲良し4人家族に波紋が。最初はブラコン麻紀のやきもち騒動かと思ったが、それどころではない重大な秘密が明らかに。このラストをどう受け止めたものか、途方に暮れてしまう。かつては幸せだった旧花嫁から、新しい花嫁に届いた手紙。「二十一年もの長い間、私はその花嫁をずっとずっと待っていたのです」この手紙を読んだ富子の反応が気になってしまう。2012/07/16
カピバラ
41
花嫁を「もらう」ことになった人気和菓子屋の家族が、それぞれの視点で描かれる。家族愛系のほのぼのストーリーかと思いきや・・・。みんな秘密を抱えているのね。あの兄妹にはたいした秘密はないけど、あのお父さん・お母さんな!!タイトルを「花嫁」にしたのはわざとかな?タイトルからは読み取れない話でした。2015/08/06
くりきんとん99
40
仲のいい4人家族。兄が結婚することになり、そこからいろいろなことが。読みやすい作品だったが、想像以上に怖い展開に。それぞれが隠していた過去がこんなにも恐ろしいものだったとは。何も知らずに幸せだったのは、兄の和俊だったと思う。その後の「花嫁」からの立場のモノも読んでみたかった。2012/09/10
萩
38
率直に言えば引いた。過ぎたるは及ばざるが如し。家族仲が良いのは結構だが、仲が良すぎるのもちょっと気色悪い。父・母・息子・娘。4人はいい年した家族にしては良好すぎるほどの仲良し家族だが、息子に花嫁が来る、となったその瞬間から何やら不穏な展開に。最後まで読むと「1本取られた」という感じがするがあまり愉快とは思えない。それにしてもこんな家庭に絶対嫁入りしたくないよー!2020/12/06