出版社内容情報
美しいものを美しいと思える心、悲しい時に悲しいと思える心。困難を乗り越えるには情けの力を育てよう。理不尽な体験が成長を育む。気鋭の精神科医が提唱する、鬱の時代の生き方、考え方。
内容説明
理不尽な体験が人を育てる！宇宙飛行士に選ばれる、大震災を乗り越える、職場のうつを克服する、今必要なのは柔らかい心。
目次
第１章 『宇宙兄弟』も試される『情けの力』
第２章 絶望を乗り越える『情けの力』
第３章 報われない時こそ『情けの力』
第４章 『情けの力』不足が招く悲劇
第５章 どうやって『情けの力』を育てるのか？
第６章 大切なのは「知・情・意」のバランス
著者等紹介
松崎一葉［マツザキイチヨウ］
筑波大学大学院・社会医学系教授。医学博士・精神科医。日本産業精神保健学会理事、宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）主任研究員、茨城労働局・局医、東京都庁知事部局健康管理医、その他、民間企業の産業精神科医として、メンタルヘルス不全の予防と組織対応に取り組んでいる。専門は産業精神医学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
№９
29
精神科産業医という肩書きの著者。JAXAで宇宙飛行士選抜試験の問題なども作るという。宇宙飛行士に最も必要とされる資質とは何か？著者は「情けの力」＝「情緒力」だという。「桃太郎」と「浦島太郎」とどっちの話しが好き？宇宙飛行士となった全員が同じ答えをしたと言う。仲の良い夫婦が些細なことで大喧嘩。この事態の収拾にどちらの行動を選ぶ？①元々愛し合っているのだから、とことん話し合い分かり合える努力をする。②些細なことが原因なので、距離を置きほっておいてみる。あなたならどっち？それは今の日本人に最も必要なものかもね。2013/01/22
けんとまん１００７
9
松崎先生の本、２冊目。これは、入門書的な感じ。情けの力とは情緒性のこと。読みながら、確かに、情緒性がどんどん失われているなあ～と思ってしまったのは、よくよく考えると哀しいことでもある。ふと、自分はどうだろう？と。時々、イカンなあ～と思うことがある。いかに、正論であっても、情緒性がないと伝わるものも伝わらないし、最後は、正論ではなくて評論家の言葉となってしまうのだろうな。そんな、いろんなことを考えるきっかけになった。2012/06/29
やまやま
8
企業のメンタルヘルスの話を伺うつもりで行った講演で、宇宙飛行士の心の健康を紹介されて仰天した時もありましたが、松崎先生には励まされています。何歳になっても「できない自分」体験は必要ということで、それは大変納得できるものです。ただ、年齢を経て、新しいことができたと感じられる部分も減ってきて、むしろ「情けの力」＝「情緒力」にすがる部分が大きくなってしまう自らも感じています。なお、本書は東日本大震災時に出版されたものですが、仕方なく仕事をすることについての社会の影がすでに先生の患者の中に現れています。2020/03/01
Artemis
8
現代のうつ病は過重労働型のうつから、精神の未熟によるうつが増えている。これは幼少期に理不尽な体験をしてこなかったから。これらの体験は”仕方がない”という感覚を身につけ、思い通りにならない中に、自分なりの意味を見出し、前向きになることができる。この体験がなければ他罰的に物事を捉え自己を成長させていくことができない。長い目で育てていく伴走者のつもりで関わっていくことが今の会社には求められてるそう。難しい。2016/09/02
nami1022
7
クラッシャー上司に続いて松崎先生2冊目。重複する内容はあったものの、それが如何に重要かということでしょうか。情けの力＝情緒の力。情けの力がある人は懐が深くて鷹揚な人、でしょうか。理不尽な事態に陥っても「そういうこともあるよね」と受け止めて、そこから「じゃあどうしようか」と思考を切り替えられる。そういう人には相談がいくし仕事が集まるし、結果として力もつく気がします。自身に情けの力が備わっているかどうか分からないけど、そらを意識してみるのもいいかもしれません。2025/05/25
