内容説明
東京の公園で男が絞殺された。身元を調べるうちに、被害者の地元・兵庫県養父市でも数日前に白骨体が発掘されていたことがわかる。発見場所も殺害時期も異なる二つの遺体―。だが、警視庁捜査一課の戸田刑事は、事件の関連性を疑い始める。そして捜査を進めるうちに、ひとりの新進気鋭のカメラマン鈴木太郎に辿り着くが…。執念の刑事・戸田と、己の宿命に抗おうとする男の壮絶な闘いが幕を開ける。野望と愛憎渦巻く書き下ろし長編ミステリー。
著者等紹介
天野節子[アマノセツコ]
1946年千葉県生まれ。初めて執筆した小説『氷の華』は2006年自費出版からスタートした後、07年単行本として出版。その後、文庫化され35万部を超えるベストセラーとなる。ドラマ化もされ、62歳の大型新人として注目を浴びた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
129
そうだ、『氷の華』の戸田刑事だ。400年前の出来事が30年前の事件と今の事件を呼び起こしたのだとしたら、浪漫だけれどこんなに哀しい事はない。天野作家今回も読ませて頂きました。一気に読了です。『烙印』巧いタイトルをつけたもんです。だが直哉は罰として生まれてきた訳じゃ無い!そして、ただ男を愛しただけなのに男を守ろうとしただけなのにという女は遥か昔からいたと云う事実。肌の色が違っても愛する男が罪を犯していたとしても・・ここにも哀しい女はいたという事実。400年前エメラルドに彫った証が御宿の海に哀しく映える。2016/04/26
ひらちゃん
82
天野さん初読み。グイグイ引き込まれた。400年前の事故、現代の殺人事件、30年前の白骨死体。時も違えば場所も違う。一つの事件に繋がる時、入れ替わりは最初の方で気づいたものの、動機が分からず気になって読み進めた。隔世遺伝は分かるけど、何世代も前の遺伝子が現れるとなると驚き。この事実も、史実を盛り込んだ事も、天災を逆手にとったのも面白かった。最後に彼らの先祖が繋がった時、ピースがすべて綺麗にはめ込まれようでスッキリした。2018/03/07
ダイ@2019.11.2~一時休止
80
帯によれば氷の華のキャラが出ているようですが未読・・・でも特に問題ない感じ。犯人の動機で結構引っ張ってたけど解決は少しあっさりテイスト。2019/09/19
ちょろこ
59
400年前の恋物語が光っていたな、の一冊。400年前の事柄と現代の事件がどう繋がっているのか…序盤から惹きつけられる構成だった。戸田刑事の相変わらずの刑事魂、犯人と戸田刑事の対決が大きな見どころだとは思うけれど、なんだか動機、真相が今ひとつ盛り上がりに欠けたというか…物足りず。自分はそこよりも400年前の恋物語に魅了された。もう少しこの部分を絡ませて欲しかったな。2016/05/21
ちよりる
39
図書何本。これで既刊の天野作品はコンプリート!400年前の海難事故から始まり、現代にどう着地するのかと思っていたけれど、なるほど血の烙印か…最初惹きつけられた割には、全体としてはちょっと物足りなかったかな。過去に比べて現代のパートの魅力が足りなかったというか。とはいえ相変わらずのボリュームでも飽きさせない構成力はさすがです。今年出てるし、新作は当分出ないかなあ…2016/10/16