内容説明
家族って何?親とは?子とは?変わっていく北海道への熱く哀しい思い。「ダメダメ人間」は生きていてはいけないのか?写真とエッセイと小説で語る「水曜どうでしょう」の鬼才、鈴井貴之のルーツと今。
目次
私のこと
出産―五年前
テレビ番組―慎一郎五歳
入院病棟
慎一郎の夢
手紙
遊園地
屋外劇場
テレビの中
犬と猿
黄金色のススキ
親子
ファミリーレストラン
LAST Fantasy
著者等紹介
鈴井貴之[スズイタカユキ]
1962年北海道赤平市生まれ。地元、北海道を中心に活躍する映画監督、タレント、放送作家。いくつかの劇団を経て、90年、劇団「OOPARTS」を結成。92年「クリエイティブオフィスキュー」を設立。98年「OOPARTS」解散後、タレント・構成作家として「水曜どうでしょう」(HTB)などを手掛ける。映画監督作品として「man‐hole」(2001年)、「river」(03年)、「銀のエンゼル」(04年)、最新作は「銀色の雨」(09年/原作:浅田次郎)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スケキヨ
19
愛し方と愛され方を知らない女性のほんのちょっと、人生を描いた物語。他人も嫌い、自分も嫌い、という女性が世界の優しさに気付き始める、ショートフィルム映画のような感じでした。最初と最後にある写真、エッセイ、コラムはなんだか映画のパンフレットのように読みました。2011/04/03
スノーシェルター
18
エッセイの間に小説。「ダメ人間」を読んで知っていたけれど、暗いよミスター。主人公はミスターの分身だろうか。愛されずに育った人は愛せないのではなく、愛し方がわからないんだな。本当の自分より、本当の気持ちに気づく方が大切なのではないかと思わされた。2014/10/18
みせすろいど
4
写真、エッセイ、小説から成る盛り沢山な一冊。ネガティブ思考で天の邪鬼という人付き合いのスタンスは、まるで自分自身のことのようで身につまされます。小説は、ミスターこと鈴井さんのそんな部分がエッセイよりも色濃く出ているのか、ずっと重々しい曇天の空に覆われているようで息苦しかったです。最後は晴れ間が出てくるけれど、自分の中で「これで一安心」とは落ち着かない読後感です。廃墟に佇む鈴井さんのモノクロ写真がとても雰囲気があったので、その感覚をひきずっていたのかもしれません。ミスターにしか書けない小説だと思います。2011/02/02
さおちゃん
4
「ミスター」鈴井さんの小説。やっぱり、悪い人が出てこない。主人公は女性だけど、たぶん自分を投影してるんだろうなと思ってたら、あとがきであっさり認めてました…。でも、甘え下手で天の邪鬼、ものすごく共感できます。誰もがたぶん、その場その場の役割を演じていることがあると思うんだけど、ストーリーは母親を演じてる女性が病気の息子とテレビの企画によって自分探しをする話。といったところ。結局、なんだかんだ言っても、人が好きな人なんだろうな。2010/12/18
はなみずき
3
遊園地行きたいと思ってしまった。昔の懐かしい遊園地。ぐだぐだ嫌になるくらいのとこまで描写していないけど、共感も反感もあって、せつなくなって、親子という関係の難しさ、不可思議さ、きっと永遠につながらなくても、答えもでなくても、ずっと抱えて生きてゆく存在=自分の存在そのものなんだろうな・・・。”お母さん!”って叫んでほしかったな、思いきり。そんなはがゆさがまたよかったような・・・。2011/08/30