内容説明
ただ、恋、だったのだ。そんな凶暴なものに、誰が抗えるだろう。植えつけられた罪悪感なら捨てた―。秘めた願望を実行したら、新しくなった自分を知った。覚悟を決めた12の恋の行方。最新連作小説。
著者等紹介
村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年東京生まれ。立教大学文学部卒業。93年『天使の卵エンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で第22回柴田錬三郎賞、第16回島清恋愛文学賞、第4回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
122
ある時期村山小説を固め読みしてた頃があって、その勢い持続中に買ってあったけど読んでなくて、その数年後に文庫で先に読んで白けたので更に積み期間が延びてたのを、この度積読消化でなんとか片付けた。そう、「なんとか」片付けられた。つまりそういう感じの本。2015/06/03
のり
107
12人の女性からの視点の性。男女問わず誰もが、思春期から意識し始める性。人それぞれ性癖も違うし、求める度合いも様々。そんな彼女達も色々な経験を踏まえ、悩んだり解放したり、秘密を抱えたり…セックスに求める意味は本能なので仕方ない。それが大きいか、小さいかの違いだ。そこはやはり男女の差は必要ないと思う。ただ、相性は大事なのは確かだ。2018/02/25
モルク
88
12編の男女の恋愛(性愛)を描いた短編集。全て主人公は女性であり、しかもなかなかの女たち…。多少食傷ぎみとなる。だが、女性が性を語ったり、好みをあからさまに表現することがタブー視されていた時代を超えて、村山さんは自由で奔放な愛を描くのがうまい。2020/09/15
ミカママ
87
と~っても官能的な小説集。興味深かったです。2011/07/25
優希
82
女性の性的要素の絡んだ恋愛小説でした。短編集なので、様々な形の性愛が描かれています。男女の綺麗な部分だけではなく、醜く、淫らな深淵の部分までザックリと切り込んでいます。心の奥底に秘めた部分が闇と絶望として輝いているのがエロティックな香りを漂わせています。たぎる欲望を持て余し、孤独に追いやられていく哀しみや空虚さは埋められないもどかしさが感じられました。セクシャルで官能をほのかに匂わせながら官能小説には昇華させず、大人の苦くて痛みの伴うギリギリの恋愛小説に仕上げている作品だと思います。2015/05/25