内容説明
1万人を超える社員を抱え、国内外に82の支局を構える全日本テレビ協会。ここに、三流部署ディレクターから名実ともにNo.1プロデューサーにのし上がった男がいた。湾岸戦争時に作った1本のドキュメンタリーをきっかけに、受賞歴多数の社会派ディレクターとして名を馳せ、プロデューサーとして手掛けた「チャレンジX」は視聴率20%超の国民的人気番組に。天皇と呼ばれる会長の庇護の下、「選ばれし者」の特別職に誰よりも早く抜擢され、さらなる野望をたぎらすのだが…。悪意と情熱が交差するとき、栄光は汚辱に塗り替えられていく。元NHK看板プロデューサーが書き下ろす問題小説。
著者等紹介
今井彰[イマイアキラ]
1956年大分県生まれ。80年、NHK入局。NHKスペシャル「タイス少佐の証言 湾岸戦争45日間の記録」で文化庁芸術作品賞受賞、NHKスペシャル「埋もれたエイズ報告」で日本ジャーナリスト会議本賞・放送文化基金奨励賞受賞、「シリーズ弁護士・中坊公平」でギャラクシー優秀賞受賞など受賞多数。2000年に立ち上げた「プロジェクトX 挑戦者たち」は菊池寛賞、橋田賞などを受賞する。エグゼクティブ・プロデューサーを経て08年退局(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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at-sushi@進め進め魂ごと
71
これは、国民的番組とすら言われた伝説的ドキュメンタリー番組を作り、栄達しながらも、組織に蔓延る嫉妬と悪意により、NHKを石もて追われた一人の男の物語である。「♪風の中のす~ばる~」 主人公=著者だけに脚色や偏向は避けられないため、ノンフィクションとして読むべきではないが、事実として、功成り名を遂げた著者が辞職せざるを得ないほどの負の圧力があったのは確かなのだろう。池井戸作品のような逆転劇も起きないのがリアルで歯痒い。「その時、西は殴った」場面と、最終回放映後に寄せられたメッセージにスカッとした。2020/03/28
ケイ
40
作者のNHK時代の回顧録だろう。出世とは遠い社内の立場から敏腕プロデューサーとなるきっかけは湾岸戦争だった。輝かしい賞の数々、プロジェクトXの制作など、彼の強引で妥協のない姿勢は素晴らしい。しかし、仕事ができないのに出世し続けると揶揄するかのように描いた黒原も、それなりに認められるところがあったのではないか。最後の月澤からの手紙が胸を打つ…「柔軟な心と謙虚な態度があってこそ」。合わないものは徹底的に叩くと、その余波は自分にもくると今の作者は理解して、また素晴らしい仕事をして欲しい。2013/09/14
よこしま
39
真面目に生きる人のほうがバカを見る、悲しいかな。◆今井彰さん、NHKで有名番組だった「プロジェクトX」の元ディレクター。今のNHKも某会長や経営委員の力で、かなり酷いですが、昔から内部が腐っていたことが分かります。正直、言葉が出ない、読んでいて辛かったです。◆吹奏楽で有名なあの工業高校の特集。放送の後、思った以上に今井さんを追い込んでいたとは。よくにある冤罪です。NHKスペシャルで森本アナがかなりアドリブを使った時と同じように。◆何処の職場にも熱意を持った人もいれば、権力に溺れた輩もいるのは事実ですね。2015/07/05
バトルランナ-
21
NHK入社しないで良かった~!(一次で落とされたんだけど)給与体系とかよくわからなかったんだよね!確か民法の8割位だけど格は上。主人公がプロジェクトXになれそうで全くなれないカタルシス。キルビルみたいに復讐と怨みのエンターテイメント。スカッとはしないよー。他の人に書かせれば違っていたのに!5点満点で4点。2014/03/07
おーしつ
14
期待していた内容とは違って、自慢が半分、恨み言が半分。 自慢に関しては経歴が示す通りで申し分ないですが、恨み言に関しては自分の番組や部下を守るためとはいえ、 派閥という論理を利用した以上、その反動はある程度仕方ないのでは、とも思う。 (マスコミの不当な取材などには同情はしますが) 名誉毀損とか色んな問題がはあるにせよ、小説ではない形式で、怪文書や嫉妬が渦巻く組織の欠陥(金が勝手に入ってくるシステムと優秀な人材に嫉妬心が強いとかじゃ不十分)をもっと指摘して欲しかった。 「ガラス」にヒビを入れるような気概を。2010/09/07
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