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内容説明
昭和35年、北海道北部の小さな花街で、母は女手一つで幼い娘を育てるため「胡蝶のママ」となった。別れた夫から嫌がらせをされ、「水商売の女」と周囲に蔑まれても、たくましく夜の世界を生き抜いた強くて優しい母の生涯。第3回感動ノンフィクション大賞大賞受賞作。
目次
父と母の生い立ち
美深の町
黒猫のばあさん
父の店「ベァー」
両親の離婚
母と私の生きる場所
父との逢引き
夜の女たちの事情
佐久での思い出
母との暮らし
高度成長期の美深
父に対する母の意地
華やかな夜の陰で
言葉にできぬ思い
両親の狭間で
新しい「胡蝶」での生活
「飲み屋の子」と呼ばれて
普通じゃない暮らし
女たちの生きる道
母の笑顔のために
母への反感
いてはいけない世界
それからの「胡蝶」
著者等紹介
吉川千鶴[ヨシカワチズル]
1957年北海道生まれ。3歳の頃に両親が離婚し、道北・美深町の花街で育つ。母親が経営する「胡蝶」というバーで、住み込みのホステスとともに12歳まで過ごし、旭川の全寮制の中学校に進学。幼い頃から「飲み屋の子」と呼ばれ、夜の世界の女たちへの偏見や差別を感じながら成長する。現在、自身の体験や取材をもとに、夜の女たちの様子や花街で育つ子どもの悲しさを綴った作品を執筆中。札幌女性史研究会会員。『胡蝶の灯り―昭和の花街で生きた母と娘』で、第3回感動ノンフィクション大賞の大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gachi_folk
2
戦後の北海道の花街にて生活する親娘。そこで働く女性達の情事や苦労が伝わってくる。ただ作品としては物足りない仕上がりだな。2012/11/09
ビーグルの匂い
1
美深町の歴史を調べていてこの本を知った。町は終戦後澱粉産業が衰退し、作者が生まれた昭和30年代から高度成長期にかけて林業、鉄道敷設で栄えていた。現在の町は国道沿いにスーパーとパチンコ屋があるだけで、完全にシャッター商店街になっている。繁華街も花街も消滅し痕跡すら残っていない。物語は職業差別、母子家庭、貧困という重い内容を扱っているのだが、壮年期真っ只中の美深町が生き生きと描かれている。京都人の私が言うのもおかしいが、美深町の人に是非とも読んでもらいたいと思った。ちなみに今の美深町も十分魅力的な町である。2018/12/03