内容説明
「わが日本の戦争は『殺して分捕る』が目的ではない。決して『殺して分捕る』が目的であってはならない」国軍の典型的少壮将校であるかに見えた村上少尉が発した言葉は、東堂太郎を驚かせる。彼の脳裡を巡る「日本古来の武士道」に象徴される日本人的心性の光と影。そして、入隊前に過ごした料亭「安芸」の“彼女”との情交―。長門の海を見晴るかす宿の一室、「人生の喪服」をまとったかのような“彼女”と、「無名の戦争」における犬死にを覚悟した東堂との間で交わされる、静謐のうちにも互いに斬り込むがごとき言葉と性の応酬…。一方、内務班における日常は、次々に奇妙な情景を現出させる。人間社会の非合理が凝縮された軍隊という強大な相手を向こうに、自らの論理性のみを恃んだ東堂の冷静な“戦い”が続いていく。近づく波乱への蠢動を秘めた緊張の第三巻。
目次
第3部 運命の章(神神の罠;十一月の夜の媾曳;「匹夫モ志ヲ奪フ可カラズ」)
第4部 伝承の章(暗影;道;対馬風流滑稽譚)
エッセイ 要塞の日々
解題 血なまぐさい月は、まっぴらだ。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
小説家、批評家。1919年福岡県生まれ。1949年、『精神の氷点』でデビュー。執筆に約二五年をかけた大作『神聖喜劇』をはじめ、著書多数。近年は、インターネット・サイトでの作品公開も行なっている
のぞゑのぶひさ[ノゾエノブヒサ]
漫画家。1949年佐賀県生まれ。三歳の頃、関西へ移り、以後ほとんどの期間を京都で過ごす。大阪で色々な職種、職業を経験。その後、体を壊し、「自分に出来る仕事は絵を描くことしか残っていない」と決心。東京で一人、投稿生活を始める。四年目に『木金堂主人』でデビュー
岩田和博[イワタカズヒロ]
演出家、プロデューサー。1947年京都府生まれ。大学卒業後、サラリーマンとなるが、続かず三カ月で独立。その後、ファッション・ショー演出家として実績を重ね、現在では、地元・京都での数々の記念行事・催事をはじめ、国内外における様々なイベントを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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