内容説明
野蛮で凶暴な海賊の村で拾われた美しい少女と彼女を愛する無骨な若者の切なすぎる因縁、涙なくしては読めない表題作「寄物」。維新直前、瓦版屋を目指して江戸に出てきた純粋で無鉄砲な少年二人の残酷な別れを描いた「生贄」。冤罪で送られた流刑地・八丈島で、たび重なる艱難の中、決して希望と友情を失わなかった男たちの大いなる島抜けの痛快譚「八丈」ほか傑作時代小説、全四編。書き下ろし。
著者等紹介
石月正広[イシズキマサヒロ]
1950年東京都生まれ。画家、馬券師などを経て86年から小説を書き始める。95年、『写楽・二百年の振り子』で作家デビュー
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感想・レビュー
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horihori【レビューがたまって追っつかない】
33
庶民のはかない生活を描いた時代小説短編集。「寄物」海賊の村に人生を狂わされた少女の初恋「恋文」主君の初恋を叶えるべく奔走する「生贄」維新前の江戸で瓦版屋を夢見た青年の無念「八丈」冤罪で島流しになった男たちの大胆な計画。表題作が悲しすぎる。船を襲い生計を立てる貧しい村に漂着物として拾われた少女は、育てられ身売りされる。狂った村に人生を踏みにじられながら、貫いた初恋と現実。不幸で醜悪なのに美しさを感じた。面白かったのは「八丈」些細な罪状で島流しになった男たち。悲惨極まりない展開だけど、島抜けのラストは爽快。2007/12/26
カピバラ
18
切なくなる話ばかりでした。方言がきついと読みにくい…。2015/05/28
カヨ
2
時代短編4作、どれも理不尽とやるせなさが悲しく、呆気なくばっさりと話が切れるので少々ここで終わり?となる物や余韻が残らなかったのが惜しく、物語の好みは「生贄」でした。「花火なんかやってるんじゃねぇよ!」の一言が辛く2015/02/03
よっちん
1
面白いと面白くないの差って何なのだろう?好きな設定なのになぜか読み辛かった。2011/09/01